日本で一番多い苗字は「佐藤」だが、選択的夫婦別姓が進まないとおよそ500年後には日本人全員が「佐藤」姓になる。そんなデータが東北大学の吉田浩教授らの研究チームによって発表され話題になっている。
もしも「佐藤さん」だらけになったらどんな世界が待っているのか、そんな未来を先取りするかのような村が実は山梨県にあった。ABEMA的ニュースショーのスタッフが向かったのは山梨県・道志村。人口1535人の山梨県と神奈川県の県境に位置する緑豊かな山々に囲まれている村だ。
村人の佐藤さんに困ることはあるのか尋ねると「困るのは郵便ですよね。郵便がよく間違えるとか、そういうのはある」と答えた。
道の駅で株式会社どうし専務取締役の池谷実さんに話を聞くと、従業員の佐藤姓は「30人中12名」と回答。さらに道の駅で陳列されていた野菜の生産者はすべて佐藤さん印で、村の電話帳にも多数の佐藤性が並んでいた。
一方、佐藤さんだらけの村での佐藤姓はメリットもあるという。10年前に横浜から移住してきた佐藤八重子さんは、助かった面として「佐藤って言うと元々地の人かなって思われる可能性がある」と、地域に溶け込むのに佐藤姓が一役買っていることを明かした。
道志村にいる佐藤さんは現在、村の人口およそ1500人中262人で、6人に1人が佐藤姓だ。佐藤一夫さんは「たまたま誰かの紹介で来て『すみません、この辺で佐藤さんってうちありますか?』という方がたまにいる。『この辺みんな佐藤さんって言うけど、下の名前は?』と言ったら『下の名前はよく覚えていません』って。道志七里って28キロある」と、佐藤の苗字だけでは決して目的地に到着できないと説明した。
道志村議会議員の佐藤進さんによると、佐藤さんだらけの村で佐藤さんの見分け方があるそうで、進さんは「下の名前と屋号、各家に名前が付いていて。あそこが釜之前のヒデキくん、広瀬のマサミくん、大原の進くん、そうやって名前を呼ぶんです」「だから佐藤(の苗字が)いらないんですよ、ここは」と説明した。
また、進さんは道志村について「子どもがいないんですよ。もう限界集落」と告白。かつて約3400人いた人口もいまでは1500人で少子高齢化問題が深刻なのだという。
「佐藤さんだらけになる未来は信じられない。佐藤さんが消滅しちゃうならわかるんですけど。ここの村自体、佐藤さんが消滅しそう」と厳しい現状を語った。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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