4月19日(金)都内にて格闘ドキュメンタリー「格闘代理戦争-THE MAX-」準決勝が行われ、岡見勇信&中村倫也推薦選手の中村京一郎がクレベル・コイケ推薦選手のギレルメ・ナカガワに3RTKO勝利。青木真也推薦の中谷優我をヒザ十字で秒殺したイゴール・タナベ推薦・トミー矢野との決勝に勝ち進んだ。
ともに一回戦を早い試合時間でフィニッシュして準決勝に駒を進めた中村とギレルメ。試合は中村が打撃で倒すか、それともギレルメが寝技で仕留めるか。そこに注目が集まった。試合は中村が打撃のプレッシャーをかけてギレルメに組みつくチャンスを与えず、左ストレートを顔面とボディに打ち分けて試合を優勢に進める。
このまま中村が打撃で圧倒するかと思われたが、ギレルメも抜群の対応力を発揮。徐々に中村の打撃にカウンターを合わせるようになり、3Rには右ストレートを当て、左フックを合わせて中村に尻餅をつかせる。形勢逆転の一発で会場は大きく沸くが、ここから中村も冷静だった。ギレルメのテイクダウンをディフェンスすると、再び態勢を持ち直して左ストレートを的確に当てて、最後は左ストレートからのパウンドで中村がレフェリーストップを呼び込んだ。
格闘代理戦争以外の試合も含めて、ここまで勝った試合のほとんどが1RKOだった中村にとって、初めて3Rまでもつれての勝利。先に決勝進出を決めたトミー矢野が2試合連続で秒殺勝利を収めたのとは違い、中村はギレルメの思わぬ打撃でピンチを迎えるという試合内容だった。中村も「試合の波はどのスポーツにもあること。その波を感じながら試合ができて、それはこの試合で培ったこと」と試合を振り返る。
そしてこの試合が中村にとって大きな経験になると語ったのが監督役の岡見勇信と中村倫也だ。中村倫也は相手の反撃を乗り切ったことがプラスになる、岡見は判定ではなくTKOで試合を終わらせたことに今までとは違う強さを感じたと話した。
「序盤はプラン通りに試合を組み立てられていましたが、ギレルメ選手のアジャスト能力がすごくて(打撃を)合わせてきた。今まで京一郎は試合を支配して、相手を泳がせてフィニッシュするパターンが多くて、相手に盛り返されることがなかった。今回はギレルメ選手が盛り返してきたのですが、それを叩き潰して勝った。今後相手が盛り返す試合があっても、もっと落ち着いて出来ると思うし、こういう試合を乗り越えると成長するものなので、今回の勝利は京一郎にとってでかいです」(中村倫也)
「相手のギレルメ選手は目の奥から醸し出す力に嫌な感じがあって、どれだけパンチをもらっても、タックルを取れなくても諦めずにケンカしてくる覚悟があった。京一郎も3Rに窮地があって、本人は大丈夫だと思ったかもしれませんが、僕らは焦りました。でもその窮地を脱出して、判定じゃなくてフィニッシュ、倒し切ったところはさすがです。ああなったら普通は上手く距離をとって窮地を逃がしながら判定勝ちするのがセオリーですが、そこでフィニッシュして勝った強さは今後に活きると思います」(岡見)
中村にとっては準決勝でギレルメ、決勝でトミーと柔術家との対戦が続く形になった。中村自身「ギレルメ選手とトミーは大きく分けてカテゴリーは一緒の選手。(対策の)作りやすさはあるし、次はもっと深いところまで行ける」と言うように、対策面で同タイプの選手と連戦することはプラスになる。
中村はUFCファイターとして世界と戦ってきた岡見が「京一郎は非凡」と語る才能の持ち主。準決勝で経験したピンチは中村を強くし、格闘代理戦争優勝に向けて追い風になりそうだ。