新リーダーの輝く瞳は頂点を見据えている。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」のドラフト会議が4月27日に放送された。大会常連ながら初めてリーダーを務める佐々木勇気八段(29)は、伊藤匠七段(21)と久保利明九段(48)を指名。いずれも抽選での獲得となったが、「大満足な結果」とホクホク顔で新チームの結成を喜んだ。
リーダーとして、トップ棋士がズラリと並ぶドラフト会議に初参戦した佐々木八段。「最初は緊張したんですよね。目の前に藤井(聡太)竜王・名人と渡辺(明)九段がいて…。でもこういうステージに来たんだなって思って、臨みました」と身の引き締まる思いで会議に参加したという。1巡目、2巡目ともに抽選で意中の棋士を獲得。「大満足な結果になりました」と満面の笑みで新チーム結成を喜んだ。
1巡目では、「若手を選ぼうと思っていた」と現在タイトル挑戦中の気鋭・伊藤七段を獲得。永瀬拓矢九段(31)が1巡目指名を明言していた増田康宏八段(26)の“横取り”も頭によぎったといい「永瀬さんに嫌われるのも“一局”かなと思った」といたずらっぽく笑ったが、大本命をクジで引き当て、「若手の有望。伊藤さんはよく練習も相手してくれた方なので、取りたいなって気持ちがありました。伊藤さんを取れて良かった」とホッとした表情を見せた。
2巡目には、やや意外とも言える先輩棋士で、過去にはリーダーも務めた久保九段を選択。ここでも指名が被ったが、運も味方に付けて無事に獲得となった。「2巡目も迷っていたんですけど、伊藤さんが居飛車党の研究家なので、バランスを取りたくて振り飛車党の久保さんを選びました。公式戦の大きいところで当たっていて、その時に本当に強さを感じていました。居飛車党からだと見えない指し手とか読み筋を感じたので、振り飛車党の感覚を間近で感じることができたらなと思って今回選びました」と指名の理由を明かし、真剣勝負に臨む上で十分な戦力を獲得した様子だ。
周りを見渡せば、経験豊富なリーダー陣が今期も強力な陣を敷いている。「藤井竜王・名人が羽生さんを選んで、しかも実際に(クジ引きで)獲得できた時には『おー!』と思わず拍手してしまいました(笑)。チーム藤井は相当強いチームとなるでしょうけど、私のチームも結構新鮮な感じかなと思うんです。これまでは仲が良いメンバーで戦うことが多かったですけど、伊藤さんも久保さんも“将棋頑張るぞ!”みたいなメンバー。バランスのいいチームなったと思う」と自信をのぞかせた。
リーダーとしてチームを率いるのは初めてだが、「理想は自分が勝ってチームを引っ張っていきたい」。目標は「まずは予選突破」と控えめながら、キラキラ輝く瞳はすでに遥か先を見据えている。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)