カラフルな勝負スーツに身を包み、またこの舞台に帰ってきた。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」エントリートーナメントの模様が5月4日に放送された。関東Bブロックでは、大橋貴洸七段(31)が勝ち抜き、2期ぶり3度目の出場を自力でもぎ取った。本大会に向けて「自分の力を出し切っていきたい」と、盤上でも見た目でも華やかにしてファンを楽しませる。
昨年は出場叶わず、今年もドラフト漏れ。ならば自力でと関東Bブロックを勝ち上がった大橋七段は、準決勝で齊藤裕也四段(26)と対戦。先手の齊藤四段が中飛車、大橋七段が居飛車の対抗形でスタートすると、両者ともに研究手順なのか猛烈なスピードで指し進める序盤に。5筋での攻防がポイントになると、徐々に大橋七段の攻めが刺さり始め、終盤の入り口ではABEMAの「SHOGI AI」で大橋七段の勝率は80%に到達。その後も逆転を許さず88手で快勝した。
続く決勝は、昨秋にプロになったばかりの宮嶋健太四段(24)と対戦。相居飛車の一局は後手の宮嶋四段が2枚の桂馬を有効に使い、中盤までリードを奪っていたが、攻めのきっかけとなるはずだったこの2枚の桂馬が威力を発揮せず、形勢は互角に逆戻り。それでも5筋での攻防で、宮嶋玉が広くなると、再び形勢は後手に振れた。
このまま宮嶋四段が押し切るかと思われたが、何が起こるかわからないのがフィッシャールール。9筋から寄せにいった宮嶋四段が仕留め損ねると、ここから大橋七段が大逆転。161手で熱戦を制した。対局後も「厳しい状況が続いていた。最後、こちらが運良く詰まずにターンが回ってきた」と冷や汗ものの勝利だと振り返っていた。
エンディングではチームメイトとなる井出隼平五段(32)、冨田誠也五段(28)と並んであいさつ。本大会への抱負を聞かれ「お二人とも早指しは得意そうな感じがするので、頼もしいと思っています」とチームメイトの活躍に期待しつつ「自分の力を出し切っていきたい」と語った。
この日の勝負スーツはジャケットが青、パンツとネクタイが赤という組み合わせ。ファンからも「大橋さん気合入ってる」「青と赤!」「吉本の若手より派手やんけ」「漫画みたいな色合い」「相変わらず派手」」というコメントが寄せられたが、本大会ではどんな装いで登場するか。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)