作家の百田尚樹氏らが立ち上げた政治団体「日本保守党」の勢いは本物か？ 先日の衆議院補欠選挙を徹底分析したJX通信社 米重克洋代表取締役に聞いた。
【映像】最終学歴「高卒」「大学院卒」が日本保守党を応援した理由とは？
4月28日に行われた衆院補欠選挙。東京15区で当選したのは立憲民主党の酒井菜摘氏だ。日本保守党公認の飯山陽氏は4位（得票率14.2％）となり、国政政党ではない日本保守党の躍進が目立つ結果に。
━━そもそもなぜ日本保守党を分析しよう考えたのか？
「我々は選挙期間に入る前から東京15区での情勢調査を行っており、早い段階から日本保守党の飯山氏の支持率が高いとわかっていた。結果については1位の酒井氏は圧倒的だったものの、2位から飯山氏を含む5位までが僅差であったことからも今まで“諸派”と言われていた政治団体・政党の得票率としてはかなり高いと言わざるを得ない」
━━東京15区善戦の背景には何があったのか？
「まず1つは『選挙の構図』だ。今回、江東区からなる東京15区はまさに今問題になっている派閥の裏金問題とは別に、2代続けて議員が辞職している状況にあり、自民党は候補を立てられなかった。その結果、自民党支持者、そして無党派層の中における自民党に投票してきた人たちの投票先がなくなり、結構な割合が飯山氏に投じられた」
「もう1つは近年の『ネット選挙の流れ』だ。インターネットを利用した選挙運動であるネット選挙運動も解禁されて10年以上経つが、今まではいわゆる参院選のような全国比例の選挙において『全体の得票数の数％取れれば』というものであったが今回は小選挙区において大きなインパクトをもたらした。これはネット選挙始まって以来、私の知る限りにおいては初めてと言えるほど得票数が多かった」
━━JX通信社によると飯山氏の支持者はXやYouTubeの利用者が多いようだが、これは何を意味するのか？
「明らかにXやYouTubeをよく使う人たちが飯山氏を支持する割合が高い、という結果が出た。これは、飯山氏がYouTube等を通じた情報発信によって支持を拡大していることをかなり明確に示していると言える。日本保守党党首の百田氏や事務総長の有本氏は人気YouTuberであり、飯山氏も名を知られている。一方で飯山氏の支持者はテレビなどのマスコミを情報源として使っていないことも明確になった」
━━暮らしが豊かか貧しいかという「生活実感」という観点において、日本保守党の支持層はどのような傾向が見られるか？
「所得を直接聞くわけではなく『ご自身の生活は人に比べてどうですか？』という質問をして上中下で刻んだ結果、飯山氏の支持者は『中の下以下』の方がデータ上1番多かった。この背景の一つには“政治不信”があると思われる。つまり、いわゆる政治と金の問題において『自民党などの既成政党、政治に信頼が置けない』と答えた人たちはとりわけ生活実感が低い傾向にあるのだ。こうした生活実感が厳しい人々が昨今の物価高や政治の問題なども含めて、政治不信を抱き、投票行動に至っているようだ」
━━「学歴」にも傾向はあったか？
「飯山氏の支持層は最終学歴が『高校卒業』と『大学院卒』が多かった。これも『生活実感』の部分と若干リンクしている部分があるが、実はアメリカのトランプ氏の支持層の枠組みと少し似た部分がある。こうした人々は今の生活に満足していない、もしくは既成の政党政治に対して不信感を持っており、言い換えれば、大衆主義的な傾向も多少ある。そういった方たちに対して、日本保守党という選択肢がしっかり刺さった結果、今後も大きく伸びていく可能性がある」
━━最後に、今回票を伸ばした日本保守党は今後国政政党になる可能性はあるか？
「大いにあり得る。来る衆院選で言うと、小選挙区で当選に至るラインはなかなかハードルが高いが、地域ごとにブロックで分かれての比例代表ならば当選圏内に入ってくる可能性は一定ある」
（『ABEMAヒルズ』より）
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