【WRC】第5戦 ラリー・ポルトガル(5月12日/デイ4)
世界ラリー選手権(WRC)第5戦は、トヨタのセバスチャン・オジエが優勝を飾った。同じくトヨタのカッレ・ロバンペラと勝田貴元がデイ3でクラッシュした一方で、エルフィン・エバンスは最終日に華麗な美技を決めて注目を集めた。
前節のクロアチアラリー終了時点でポイントランキング2位につけていたエバンスは、デイ3のSS11で車体を土壁に接触するなどアクシデントに見舞われたものの、なんとか総合6位をキープ。最終日デイ4は、この日だけの順位に応じてポイントが付与される「スーパーサンデー」ということで、強い意気込みが感じられた。
この日2つ目のステージSS20「ファフェ」は、11.18キロと走行距離はそれほど長くないものの、コース最後にジャンプスポットが控えている。難コースでありながら、観客にとっては非常に見応えのあるステージだ。
そして、このSS20でエバンスは見事な走りをみせて好タイムを獲得したのだが、ラストで見せた豪快なジャンプシーンについてスタジオ解説者の小坂典嵩(ラリー コ・ドライバー)が言及。よく見ると、エバンスは他車とは違う“前上がり”のジャンプをしているという。
解説によると、ラリーにおけるジャンプはただアクセル全開でいけばいいというものではない。基本的にはジャンプに入る手前で少しブレーキを踏み、速度と飛び具合を調整するのだが、エバンスはアクセルを踏みながらブレーキを踏んでいる。結果、サスペンションのストロークが一旦縮むものの、飛んだ際にはサスペンションが伸びて、きっちり着地できている。
たしかに、エバンスの操るトヨタGRヤリス・ラリー1は、ジャンプ中にフロント部分が上方に向いている。ジャンプは、失敗するとフロントが下がり過ぎてしまい、着地と同時に前転してしまうこともあるが、エバンスはただ格好良く飛んでいるだけではなく、巧みな姿勢コントロールをしながらジャンプしているのだ。
その後エバンスは、SS21でマシンにダメージを負ってしまったものの、最終的には総合6位で伝統のラリー・ポルトガルを走り終えた。年間チャンピオンシップポイントでも2位をキープし、次戦「ラリー・イタリア サルディニア」での巻き返しを図る。
(ABEMA『WRC 世界ラリー選手権 2024』/(C)WRC)