5月17日(金)都内にて「格闘代理戦争-THE MAX-」決勝が行われ、岡見勇信&中村倫也推薦選手の中村京一郎がイゴール・タナベ推薦・トミー矢野に判定勝利。トーナメント優勝と共に優勝賞金300万円を獲得した。
約4年ぶりの開催となり、全8選手が参加した「格闘代理戦争-THE MAX-」。決勝に勝ち進んだのは1回戦から抜群の打撃と格闘センスを見せつけた中村と柔術仕込みの寝技で1Rフィニッシュを連発したトミーだった。
勝負の分かれ目は中村が打撃を当てるか、トミーが寝技に持ち込めるか。先手を取ったのはトミーの方だ。1Rに中村のパンチに合わせて組みつき、足関節を狙いつつ、寝技でバックを取ることに成功したのだ。完全にトミーの勝ちパターンになったかと思われたが、中村も絞め・関節技の形を作らせる前に脱出し、それだけにとどまらず勢いよくパンチを落としてトミーを攻め込んだ。
トミーの寝技に対処して自分が攻める形まで作った中村。逆に得意の寝技を逃げられて中村に反撃の隙を与えてしまったトミー。2R以降は中村がトミーのテイクダウンや引き込んでの寝技をディフェンスして、打撃で攻め込む時間を徐々に増やしていく。中村優勢のまま試合終了となり、終わってみれば中村がしっかり試合をコントロールした上での判定勝利を果たした。
試合後のインタビューでは「いつも緊張しないんですけど、今日も試合が楽しかった。楽しい中にもきついシーンがあったけど、練習したことが出たし、練習は嘘をつかないんだなと思いました」と話した中村。
監督の岡見は「1Rにバックを取られて厳しいシチュエーションだったけど、しっかり逃げて、逃げただけじゃなくパウンドで攻めたところがよかった。あれでトミー選手の気持ちが切れたのかなと。逃げるだけでもよかったんですけど、あそこでパウンドをまとめたところが京一郎の勝負強さ」と1R終盤の攻防が勝敗のポイントだったと振り返る。
同じく監督の中村倫也は「準決勝・決勝とも相手はいわゆるストライカー(京一郎)が苦手なグラップラー。攻略する自信があったとはいえ、相手の得意な形に入ったらアドバンテージを取られるけど、そうさせない京一郎の技術が出た試合でした。100点ではなかったけど、ああなったらストライカーはグラップラーに食われる展開の中、トミー選手の仕掛けを冷静に対処して(グラウンドで)下にさせた京一郎のレスリング力の高さと寝技の対処。この3カ月間でやってきたことが光った」と中村の成長ぶりを讃えている。
持って生まれた格闘技センスに加え、強くなるための環境と経験を積む実戦の場。そして何より選手本人の強くなりたいという意思。岡見&中村倫也監督に見出され、2人の指導のもとで中村がトーナメントを優勝した道のりは、まさに格闘代理戦争だからこそ出来たキャリアの積み方だ。
中村の格闘家としての目標は世界最高峰の舞台UFC。中村は「格闘代理戦争で韓国人選手や日系ブラジル人選手と戦うことができて、ある意味、Road to UFCの前哨戦になったかなと思います。僕はUFCに出るだけじゃなくて勝つことが目標で、出てからが勝負だと思っています」と堂々と宣言する。
一見、生意気に聞こえる発言だが、この強気な姿勢と物怖じしないメンタルが世界で勝つためには必要なもの。岡見は「京一郎は本当に楽しそうに試合をしていて、それは僕の辞書にはないこと。でも世界で勝負できる男はこういう気持ちを持つ男だと思う」と語っている。
格闘代理戦争から世界へ。中村の優勝はそのポテンシャルの可能性を十分に感じさせるものだった。