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 アニメ『ささやくように恋を歌う』朝凪依(歌)役・笹倉かなオフィシャルインタビューが公開された。

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 アニメ『ささやくように恋を唄う』は、高校に入学した木野ひまり(CV:嶋野花)が、バンドでギターボーカルを務めていた朝凪依(CV:瀬戸麻沙美)に“ひとめぼれ”したことから始まるガールズバンドラブストーリー。原作は「コミック百合姫」(一迅社刊)連載の竹嶋えく氏による同名マンガで、2020年度「百合漫画大賞」第1位に輝いている。

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――笹倉さんは「アニメ音楽のこと!マッチング・オーディション2021」に合格したことから、アーティスト活動が始まったそうですね。こちらのオーディションを受けようと思ったきっかけから教えていただけますか?

笹倉かな(以下、笹倉):私はもともと、アニメソングを歌うことを目標に個人で音楽活動をしていたんです。アルバイトをしながらライブハウスの対バンに出たり、路上ライブやライブ配信をしたりして、オーディションを探しては応募するというのを繰り返していました。

 なぜアニメソングを歌いたかったかというと、学生時代にいろいろとつらい時期があって、そのときに助けてくれたのがアニメだったからです。友人との関係、先生との関係、家族との関係……いろいろな悩みも、アニメに没頭しているときだけは現実を忘れられて。いつしか自分もアニメソングを歌いたいと思うようになっていました。それで音楽活動を始め、その中で「マッチング・オーディション」を見つけたんです。これに合格すれば歌でアニメに関われる、と思って応募しました。

――もともとアニメがお好きだったんですね。

笹倉:水樹奈々さんを知ったことがきっかけでアニメにハマったんです。特に好きな作品は「戦姫絶唱シンフォギア」。そこから水樹さんが出ている出ていないにかかわらずアニメを見るようになりました。「Angel Beats!」もすごく好きです! 

――「Angel Beats!」といえば、劇中バンドのGirls Dead Monsterがリアルでも活動されていました。

笹倉:そうなんです! ガルデモのような劇中ボーカルにも憧れがあったので、今回、「ささ恋」で劇中ボーカルとして関われて一つ夢が叶いました。

――オーディションを経て、どのような形で「ささ恋」への出演が決まったのでしょう?

笹倉:二次審査を通過したという連絡はいただいたのですが、その後に三次審査とは知らずにレコーディングスタジオに呼ばれ、カバー曲のレコーディングをしました。

 後日、「ささやくように恋を唄う」という作品があり、依ちゃんというキャラクターの歌唱に選ばれる可能性があることを教えていただき、現在の歌詞とは違うものですが、「Humming Love」と「オレンジに染まった大空」を歌いました。その歌を聴いていただいて合格をいただいたという流れです。

――受かったときの心境はいかがでしたか?

笹倉:憧れもありましたし、嬉しかったのも事実なんですが、所属事務所のスタッフさんが審査の間もボイトレやさまざまな形で支えてくださったので、そちらへの感謝のほうが大きかったです。ありがとうございます、頑張ります、と。放送が始まった今になって、デビューの実感が沸いてきました。

――「ささ恋」の原作にはどんな印象をお持ちになりましたか?

笹倉:まずキラキラしているなという印象を受けました。絵も繊細で綺麗だし、初めて読む女の子同士の恋愛のお話も新鮮で。自分が音楽をやっているので、バンドが出てくるところにも惹かれ、一気に引き込まれました。

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――依についてはいかがでしたか?

笹倉:初めて読んだときからずっと気になっていたキャラクターでした。私はクールな女性に憧れがあるので、こんな人になりたい、お近づきになりたいって(笑)。でも、途中から「かわいい」という印象のほうが強くなりました。「頑張れ、頑張れ」と応援しながら読んだのを覚えています。

――笹倉さんと似ている部分はありますか?

笹倉:大きなところだと歌が大好きなところは私とまったく同じですし、物につられがちなところが似ているなと感じます(笑)。

 でも、一番似てるのは一見するとクールに見えるのに、心の内が賑やかなところ。私は全然クールではないのですが、心の内は騒がしいのに感情が表に出にくいタイプなんです。あまり起伏がないというか(笑)。依ちゃんの賑やかな心の一面を見たときは、すごく共感しましたし、私と一緒だなと思いました。

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――先行上映会でステージを拝見したときは、クールな方なのかなという印象を受けましたが……。

笹倉:全然違うんですよ!(笑) 心の内はてんやわんやでした。

――そうだったんですね。ちなみに、依の歌唱担当として、どのようなことを大事にされていますか?

笹倉:依ちゃんは自分には歌しかなかったというくらい歌に対して思い入れが強く、ひまりちゃんが“ひとめぼれ”するくらい歌に魅力がある子なので、その魅力はなんなのか、どういうふうに歌えばいいのか最初はすごく悩みました。特にレコーディング前、練習しているときはうまく歌おうとしすぎたのか、気持ちが伝わりにくくなっているなと感じたんです。

 依ちゃんは純粋に歌が好きな子なので、テクニックや歌唱力を前面に出しすぎるのは違う、むしろまっすぐに気持ちを伝えていくような歌い方がいいと思ったんです。恋に興味のなかった依ちゃんが初めて人を好きになる。そのときの初々しい気持ち、純粋な気持ちを、鮮度を保って皆さんにお届けしたいと考えました。

――気持ちを前面に出していくような歌い方ですか?

笹倉:そうですね。ただ、感情を込めすぎても伝わらないことがあるので、その塩梅を探りながらレコーディングに臨みました。

――では、第6話までに登場した楽曲について伺えればと思います。まずはオープニングテーマ「Follow your arrows」についてはいかがですか?

笹倉:最初に楽曲をいただいた瞬間、「なんて王道のアニメソングなんだ!」と思いました。イントロの時点で物語の始まりを感じますし、明るいけれどどこか切なさがあって。歌詞のついていない状態なのにシンセのメロディーを聴いただけで泣いてしまいました。それぐらい黒須(克彦)さんのメロディーに力があったんです。

 藤林(聖子)さんの歌詞も「ささ恋」を象徴する美しい歌詞だなと思いました。「arrows」は「矢印」という意味なんですが、依ちゃんからひまりちゃん、ひまりちゃんから依ちゃんの気持ちにくわえ、いろいろなキャラクターの思い、矢印をこの「arrows」のひと言で表しているんです。悲しみのない世界に連れていくという、歌詞のスケールが大きくなるところもグッときますし、大きな愛を感じました。

――「Follow your arrows」で、特に気に入っている部分はどこですか?

笹倉:2サビのあとのDメロがすごく好きです。ディレクターさんからは「この楽曲はDメロが肝だから、音程やリズムも大事だけど、荒々しくてもニュアンスや感情が乗っているテイクをあえて採用した」と伺いました。確かに、歌詞とメロディーと相まってグッとくるDメロになったなと思います。

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――では、第1話の劇中歌「Humming Love」はいかがですか?

笹倉:最初にお話ししたように、「Humming Love」は「ささ恋」で最初に触れた楽曲でした。依ちゃんの歌唱担当に決まる前から知っている楽曲なので、やっぱり思い入れも強いです。

――オーディションのときとは歌詞が変わったそうですね。

笹倉:より「ささ恋」の世界がわかりやすく表現された歌詞になって、SSGIRLSの楽曲でもありつつ、「ささ恋」全体を表すような楽曲でもあるなと感じました。これまで作家さんにディレクションをしていただく機会がなかったので、黒須さんにレコーディングのディレクションを担当していただいたのも思い出深いです。私が緊張しない環境を作ってくださって、とても感謝しています。

――「Anime Japan 2023」で初披露されましたね。

笹倉:オーディションの楽曲でもあり、最初に皆さんの前で披露させていただいた楽曲でもあるので、「Humming Love」と歌人生を歩んでいるような感覚です。今でも一緒に成長していけたらいいなと思っています。

――依を演じる瀬戸麻沙美さんとシームレスに繋がっている歌声にも驚きました。

笹倉:そう言っていただけるのが嬉しいです! 自分の声をまだ客観的に聴くことができないので、最初は不安があったんですが、そういう反響をいただけてホッとしました。

――同じく、第1話の挿入歌「オレンジに染まった大空」についてはいかがですか?

笹倉:こちらもオーディションで歌った曲で、とても馴染みの深い曲です。オーディションから本番のレコーディングまでは少し期間が空いたんですが、オーディションで制作の方によかったと褒めていただいていたので、自分らしく、依ちゃんらしく、自信を持って歌うことができました。

――こちらは笹倉さんご自身が作詞をされていますね。

笹倉:初めて作詞をさせていただきました。作詞の段階ではどういうシーンで使われるか詳細に伺っていたわけではないんですが、弾き語りの曲ということで原作第1巻の屋上のシーンが思い浮かんだんです。そのシーンが個人的に好きだったこともあり、屋上から見える夕焼けをテーマにしながら書かせていただきました。

――タイトルも笹倉さんが考えたんですか?

笹倉:そうなんです。歌詞を書いていく中で夕焼けをどう表現しようかと思ったときに、ふと「オレンジ色に染まった大空」という言葉が浮かんだので、これをタイトルにしました。アニメの中の夕焼けがとても綺麗だったので、このタイトルにして本当によかったです。

――ひまりが屋上に来るときに、依が歌っていた「屋上のメロディー」もありました。こちらは笹倉さんが作曲されたんですね。

笹倉:ハミングで弾き語りする曲を作ってくれませんかというご依頼で作った楽曲です。「ちょっと作ってみようか」とベッドにあぐらをかいて作曲したんですが、このシーンの依ちゃんもまさに「ちょっと弾いてみようか」という雰囲気で演奏していたので、絶妙な繋がりを感じて嬉しくなりました(笑)。

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――そして、第6話ではついに「Sunny Spot」が披露されましたね。

笹倉:原作ファンの方にとっては絶対に思い入れの強い楽曲なので、私も完全燃焼する気持ちで歌おうと意気込んだ楽曲です。レコーディング前から自分にとって大切な楽曲になるだろうなという予感があり、デモ曲をいただいたときはその思いが確信に変わって鳥肌が立ちました。

 どちらかというと私は心の内を吐き出すような楽曲を歌うことが多く、ここまでストレートに大切な人への気持ちを表現した楽曲は初めてだったんです。きっと「ささ恋」に関わって、依ちゃんの歌唱を担当しなかったら「誰かを思う気持ち」を歌う機会もなかったと思います。大切な人に歌を届けること、歌う意味とは何か……そういうものを考える機会をいただけて、私にとっても大好きで大切な楽曲になりました。

――笹倉さんにとっても一つのターニングポイントになるような楽曲になったんですね。

笹倉:そうですね。「ささ恋」と「Sunny Spot」に自分を変えてもらえたような感覚になりました。ただ、思い入れが強すぎたのか、レコーディングでは気持ちが入りすぎてしまい、最初は念のこもった重々しい雰囲気になってしまって(笑)。依ちゃんとひまりちゃんの恋を表現した、爽やかで純粋でキラキラした楽曲にしたいと思っていたので、レコーディングの中で修正していきました。

――とても心が温かくなる楽曲でした。

笹倉:喜介さんの歌詞が素敵で、「ひまり」と「ひだまり」が掛かっているところが特に好きです。Dメロもすごくいいので、ぜひフルサイズも聴いていただきたいですね。

――ではアニメ本編についても伺えましたら。第1話から第6話までで、特に印象に残っているシーンを教えてください。

笹倉:第1話ラストの屋上のシーンが印象に残っています。二人にとっても大事なシーンですし、実際にアニメを拝見して、映像、音楽、セリフが重なり合うような演出に感動しました。あとはSSGIRLSのライブシーンですね。実はモーションアクターの方の撮影を見学させていただいたんです。

――そうだったんですね!

笹倉:ライブハウスで撮影されたんですが、そちらにお邪魔させていただいて。この演奏がこういうアニメーションになるんだと、制作の過程を拝見できて感動しました。他にもアニメのダビングの作業も見学させていただいたんです。どういうふうに音声や音楽がつくのか、その演出の過程を知ることができて、アニメに対する見方も変わりました。貴重な体験をさせていただいたなと思います。

――先ほど、少しお話に出ましたが、笹倉さんは「Anime Japan 2023」「Anime Japan 2024」、そして先行上映会で「ささ恋」の楽曲を披露されてきました。ライブの感想はいかがでしたか?

笹倉:「Anime Japan 2023」は記憶がないくらい緊張しました。シークレットゲストとして登場することになり、きっと誰も私のことを知らないのに、いきなり歌を披露する…。人生で一番緊張したんじゃないかというくらい震えていました(笑)。でも、皆さんが温かい反応をくださったのが嬉しかったですし、「Anime Japan 2024」に出演が決まったときは見違えるくらい成長した姿をお届けしようと思って練習に励んだのを覚えています。先行上映会は「Anime Japan 2024」からブラッシュアップして、アニメがもっと楽しみになるようなパフォーマンスをしようという気持ちで臨みました。

――ありがとうございます。では、「高校時代によく聴いていた音楽」を教えていただけますか?

笹倉:最初にお話しした、水樹奈々さんをはじめとするアニメソングですね。本当はバンドを組みたいのに組む友達がいなくてバンドを諦めたような日陰者だったんですが、水樹奈々さんの歌に何度も背中を押され、救われました。そこから女性声優さんの歌やアニソンアーティストの方の歌も聴くようになりました。

――最近、何か“ひとめぼれ”した人やものはありますか?

笹倉:エゾモモン牡蠣という、エゾモモンガと牡蠣を合わせたカプセルトイです。「Follow your arrows」のミュージックビデオでロケに行った岡山のガチャガチャショップで見つけました。牡蠣が好きというのもあって“ひとめぼれ”したんですが、感触がよすぎて1日中ぷにぷに触っていたら、2日目には顔が消えてしまったんです(笑)。それで翌日にもう1回まわしました。

――ミュージックビデオは岡山で撮影されたんですね。本作の舞台であり、竹嶋えく先生の出身地でもありますよね。

笹倉:そうなんです。撮影の前日に先生ともお会いできて、とても楽しい撮影になりました。

――では最後に、第7話以降の見どころや笹倉さんご自身が期待しているポイントを教えていただけますでしょうか。

笹倉:いよいよローレライが本格的に登場します。バンドのお話が増えていくのが楽しみですし、「Anime Japan 2023」から一緒にやってきている水上スイちゃんの歌も、ついにアニメを通して聞けるので、こちらも楽しみにしています。SSGIRLSも変わらず頑張っていくと思うので、それぞれのキャラクターの気持ちにも注目してください。

(C)竹嶋えく・一迅社/ささやくように恋を唄う製作委員会

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