いよいよ日本時間6月2日に迫る今シーズンのチャンピオンズリーグ決勝。1996-1997シーズン以来2度目の優勝を目指すドルトムントと、2シーズンぶり15回目の王座奪還を目指すレアル・マドリードが、イングランドの聖地・ウェンブリーで激突する。
欧州ナンバーワンクラブを決めるCL決勝では、過去にいくつかの伝説のゴールが生まれてきた。そのうちの1つは、ポルトガルが誇る“生きる伝説”クリスティアーノ・ロナウド(当時23歳)がマンチェスター・ユナイテッド時代、チェルシーを相手に決めた圧巻のヘディングシュートだ。
2008年5月21日、ロシア・モスクワのルジニキ・スタジアムで開催された2007-2008シーズンのCL決勝。プレミアリーグの赤と青、ライバル関係を象徴するかのようなファイナルは、25分にファンタスティックなゴールで幕を開ける。右サイドを攻めるユナイテッドは、DFウェズ・ブラウンがスローインからMFポール・スコールズと見事なワンツーで相手DF2人を剥がすと、ボックス右角付近から左足でゴール前へクロスを送った。
ゴール前にはチェルシーの5選手が待ち構える密集地帯。しかし、C・ロナウドがいち早くこのボールに反応すると、身長177cmのMFマイケル・エッシェンの顔と同じ高さに膝がくるほどの驚愕のジャンプ。長い対空時間から狙いを定めたヘディングシュートは、ゴール左隅のネットを揺らした。
脅威の身体能力からゴールを奪ったC・ロナウドは、感情が爆発。咆哮しながら何度もガッツポーズを見せて、ベンチ入りしていたアンデルソンと抱擁すると、リオ・ファーディナンド、マイケル・キャリックらが歓喜の輪に加わった。スタジアムもお祭り騒ぎで、ユナイテッド・サポーターの割れんばかりの大歓声を送った。
この衝撃ゴールの動画をチャンピオンズリーグ公式Xが5月27日に投稿。「忘れられないゴール」「ミスターCL」「神や」「高すぎる」などの反響が出るなど、再脚光を浴びている。
その後に試合は、44分にMFフランク・ランパードのゴールで同点になり、延長戦でも決着がつかずPK戦へと突入する。2人目のキッカーを務めたC・ロナウドは、GKペトル・チェフに止められてまさかの失敗となった。しかし、チェルシーもDFジョン・テリーが足を滑らせてポストに当ててしまうと、FWニコラ・アネルカのキックはユナイテッドのGKエトヴィン・ファン・デル・サールが見事にストップ。激闘の末、ユナイテッドが通算3度目となるCL優勝を果たした。
C・ロナウドはCLで8ゴールを挙げて得点王を受賞すると、このシーズンのプレミアリーグでも31得点で得点王となりプレミアリーグ連覇に貢献。さらに同年にプレミアリーグ最優秀選手、バロンドール、FIFA最優秀選手に輝くなどタイトルを総なめし、名実ともに世界トッププレーヤーへと上り詰める飛躍のシーズンとなった。レアル・マドリード時代を含めて5回(史上最多タイ)のCL制覇を経験したC・ロナウドが、初めてビッグイヤーを掲げたという意味でもメモリアルなシーズンだった。
2023-2024シーズンのCL決勝でも、再び歴史に残るゴールは生まれるのか。目が離せない。
(ABEMA/WOWSPO/チャンピオンズリーグ)