内閣府は5月を孤独・孤立対策強化月間として、さまざまな支援情報の発信を行なっている。その中で開設されたメタバース空間を活用した取り組みに賛否の声が上がっている。
5月の間、内閣府が開設するメタバース空間「ぷらっとば~す」では、パソコンやスマホから完全匿名で入場可能。ユーザーは懐かしさを感じるロールプレイングゲームのような画面でキャラクターを操作できる。
「つながりエリア」では全国の孤独・孤立対策に取り組むNPO法人などの団体を紹介。さらに、「相談エリア」では生活や医療、子育てに関する悩みにチャットボットが対応する。このように、様々なコンテンツが用意されている。「ぷらっとば~す」は誰でも気軽に立ち寄れる空間を提供しているが、その一方で以下のような評判もある。
「孤独を防止しようとしているのにコミュニケーションが禁止なの?」「参加したいが時間が合わなくて参加できない」(SNSの反応)
実際、「ぷらっとば~す」ではトラブル防止のため、ユーザー同士のチャットなどのコミュニケーションが一切禁止されている。また、開設時間も午前10時から午後6時までと限定されている。
内閣府 孤独・孤立対策推進室は『ABEMAヒルズ』の取材に対して「政府からの情報はURLなどが散逸して分かりづらいと考え、1つのメタバース空間から様々なリソースにアクセスできる点に注目。参加者同士のコミュニケーションというメタバースの大きなメリットをあえて活用しない変則的な活用であることは認識している」と回答。
また、開設時間を1日8時間に限定したのは予算上の制約だったと説明した。
批判的な声が高まった今回の取り組みだが、一方で運用方針に理解を示す意見もある。
「独自開発じゃなく既存のバーチャルオフィスサービスを利用しているのである程度の制約は仕方ないのかも」「コミュニケーション機能があると他のユーザー同士の盛り上がりにより孤立を感じることもあるのでは?」(SNSの声)
ところで、制作費・運営費・広告費等はどうなっているのか?
『ABEMAヒルズ』の取材に対し、孤独・孤立対策推進室は「ぷらっとば〜すにかかる費用以外にも強化月間の広報にかかる他の業務とその費用も一括の発注の為、上記のみを取り出してお答えすることは難しい」と回答した。
孤独・孤立対策推進室は「情報の受け手」については「まさに孤独・孤立により深刻な問題を抱えていて支援を必要としている方」「今のところ問題は表面化していないが、孤立していたり孤独感を感じたりしている方」「周囲に孤独・孤立の当事者がいらっしゃる方」「いまは孤独・孤立には至っていない方」など多岐にわたる、として今後の課題は「効果的な手段、より良い伝え方などを模索していく必要がある」としている。
(『ABEMAヒルズ』より)