北朝鮮から飛ばされた大量の風船が韓国におしよせ、この謎の飛来物に対して韓国軍は爆発物処理班と科学生物兵器対応チームを派遣した。
北朝鮮側は「汚物は誠意の贈り物だと思って拾い集めるべきだ」と発表。その誠意の贈り物の正体は「ゴミと汚物」で、中身はタバコの吸い殻、廃乾電池、使い古した布、紙、空の石けん容器といったゴミのほか、反韓のメッセージが書かれたビラ。さらに家畜のフンが混ざった肥料も入っており「臭いが酷かった」といった声もあるという。北朝鮮は今回の汚物風船について、韓国民間団体の対北朝鮮ビラに対する報復だと主張している。
南北関係に詳しいコリア・レポートの辺真一氏は「汚物の捉え方が北朝鮮と韓国で若干違う」と解説。双方にとっていかに「回収しづらいもの」をバラまくか、それが汚物だという。
辺氏は「北朝鮮は完全に情報統制下にある。北朝鮮の国民が知らされていないこと、金正恩総書記が極悪非道人という内容のビラを北朝鮮はものすごく嫌がっている。あるいは韓流の映画や歌などが収録されているUSB。これは全部汚物という扱い。どれだけ回収するのが大変なのか、処理するのに大変な労力が必要」と説明した。
これに対して今回の北朝鮮からの汚物攻撃はゴミや堆肥などに韓国市民が嫌がると発想したものだとみるが、なぜ家畜のフンなのか。辺氏は「人の汚物は(北朝鮮では)基本的に肥料に使われている。人民の糞尿は北朝鮮にとっては非常に貴重。それで今回は動物のそれ(フン)を使ったのではないかと言われている」として、南北の対立状況については「史上最悪の関係にある」と認識を示した。
6月1日、韓国で北朝鮮が飛ばしたとみられる風船が再び飛来して軍や行政が警戒。韓国軍は1日夜「北朝鮮が再び汚物風船を飛ばしている。国民は落下に注意し、見つけても触らず通報を」と注意を呼び掛けている。
この話題に注目した文筆家・評論家の古谷経衡氏は、北朝鮮の行動に「はた迷惑な報復行為」とバッサリ。動物のフンを使用したことについては、人の汚物が貴重なものであることは認めつつ「脱北してきた兵隊とかの汚物を分析する。なにを食べていたのかなど健康状態が全部わかる。あまりご飯が食べられていないことがわかってしまうので、あえてそういう分析をさせないために人間は除外したのではないかと思う」と推測した。
元『週刊SPA!』副編集長の田辺健二氏は「脱北ユーチューバー」のキムさんに話を聞いたとして「キムさんがおっしゃるには、北朝鮮のほうは韓国からそもそも飛んできたものに対する報復だという考えをみなさんお持ち」と説明。キムさんは20年前の脱北前、北朝鮮にいたときに韓国からの飛来物をよく見たそうで、そのときには「毒が付いているから触るな」と言われたそう。村単位でそれらをまとめて回収するそうで、「韓国から不都合な情報や政権批判の情報がよく飛んでくるので、全部集めて焼却していたとおっしゃっていた」と明かした。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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