将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」予選Dリーグ第1試合、チーム稲葉 対 チーム佐々木の模様が6月1日に放送された。チーム佐々木の3勝4敗と勝負所となった第8局では、最年長の久保利明九段(48)が登板。控室ではリーダーの佐々木勇気八段(29)と伊藤匠七段(21)が先輩の奮闘を応援していたものの、ピンチの局面で両者が「え?え?え?」と目をまん丸にしながらモニターを注視。まるで小動物のようなかわいらしい動きが、ファンの視線をくぎ付けにしていた。
第5回大会覇者・チーム稲葉の圧倒的な団結力により、一時は1勝4敗と大きくリードを許す苦しい戦いを余儀なくされたチーム佐々木。それでも第6局での久保九段の大逆転劇から流れを引き寄せると、連勝を重ねて3勝4敗まで猛追してみせた。ここまでくれば、何としてでもチーム稲葉に追いつきたいところ。第8局には、経験豊富なチーム最年長の久保九段を送り込むこととなった。
注目の一戦では、チーム稲葉の新鋭・上野裕寿四段(21)との激突に。初手合いという両者の戦いは、久保九段の三間飛車に上野四段が持久戦の構えを見せる展開となった。百戦錬磨のベテランを相手に、上野四段が臆することなく伸び伸びとした将棋を披露。久保九段は△9一玉に潜って上野四段の出方を伺いつつも、軽快に桂馬を跳ねる意外な構想を見せつけた。それでも上野四段は冷静さを失わず、カウンターから着実にポイントを積み上げていく。劣勢に追い込まれた久保九段も技を駆使して渾身の粘りを見せていた。
ピンチの局面でも罠を張り巡らせる能力に長けている久保九段とあり、上野四段もどこまでも楽にはならない。難解な将棋を控室から見守っていた佐々木八段と伊藤七段だったが、上野四段が終盤で玉を逃げる意外な選択に、「え?え?え?そっち?え?え?え?」と目をまん丸にして揃ってキョトンとした顔を見せていた。この可愛らしい小動物のようなモーションに、ファンの視線は釘付けに。「かわいい」「んんん???」「盛り上がってきたな」「シンクロしてる」と多くのコメントが寄せられていた。
しかし、最後まで乱れることなく指しきった上野四段が157手で勝利。この結果、チーム稲葉が5勝目を挙げ、チーム佐々木は追い上げは実らず、3勝5敗で初戦を落とす結果となった。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)