【映像】大量発生!?カメムシ注意報が出された地域(地図で解説)
「カメムシ」とは、カメムシ亜目と呼ばれる分類群の総称で、アメンボやタガメもカメムシの一種だ。見た目が亀に見えることが、名前の由来になっている。最大の特徴は、身を守ろうとするときに強烈なニオイ物質を放つこと。そんなカメムシが、地域によっては平年の280倍以上も発生し、30都府県に「カメムシ注意報」が発令された。
被害はニオイだけに限らない。みかんや柿、キウイフルーツ、びわなどを栽培する前川果樹園(三重県津市)も、苦しんでいる農家のひとつだ。園主は「ニオイはもちろんすごいが、果物の汁を吸う。吸われた部分がスポンジ状の傷になって、段々と腐ってしまう」と語る。カメムシはストロー状の口を持つため、吸われた果実はスカスカになってしまうのだ。
「外側の傷は“B級品”として、中身は変わらず値段を下げて販売できるが、(カメムシ被害を受けた果肉は)完全に実になるところがなく、現状廃棄するしかない。袋からびわを出すごとにため息。3〜4割は商品にならず、ちょっと頭が痛い」(前川果樹園 4代目園主・前川温さん)
各地に被害をおよぼすカメムシは、なぜ大量発生したのか。「カメムシが大嫌いで絶滅させるために研究したが、気づいたらとりこになっていた」という、カメムシ研究21年の伊丹市昆虫館の学芸員・長島聖大氏に話を聞いた。長島氏によると「カメムシは日本に1300種以上もいて、新種も存在する」という。ニオイが問題となるのは「体が大きいカメムシ」で、「日本にいる9割近くは、ニオイを出しているかもわからない小さいカメムシ」だという。しかし、ニオイを放つものは「密閉容器に入れて、ニオイを出させると自分のニオイで死ぬ」。ニオイ物質は刺激性が強く、「手につくと水ぶくれができる」こともある。
中には興味深い生態を持つ種類もいる。カメムシの一種であるコオイムシは、メスからオスへの“パワハラ”がある。「メスがオスの背中に、卵を『生まれてくるまで守れ』と無理やり産み付ける」。
では、昨今の大量発生は、どういう経緯で起きているのだろうか。「去年の秋は、とくに西日本で、スギ・ヒノキの実を食べて育った幼虫が増えたが、その原因はわかっていない」。山で大量発生したカメムシが、街へ下りて越冬し、再び山へ戻る途中で「とても目立つ」ことから、目撃情報が多いようだ。「卵が生まれると、10日ほどでふ化する。成虫になるまでは50日。ひと冬越して、数カ月生きる」とした。
なぜ洗濯物に引き寄せられるのか。「秋には洗濯物へ『ひなたぼっこ』に来る。日当たりのいい場所に卵を産むため。夜は明かりに寄ってくるので、カメムシが来たベランダに干すと、洗濯物にカメムシが付く。なるべく光を漏らさないのが大事だ」。
やってはいけない対処法もある。「カメムシは危害を加えられたときにニオイを出すため、つぶすのはもちろん良くない」。なかでも特にダメなのが「掃除機で吸う」こと。「集じん機の中でニオイを発し、排気口から強烈なニオイが出る。そのニオイが取れなくなってしまう。平和的な方法としては、紙の上にのせたり、底を切ったペットボトルに入れたりして、刺激を出させないように外へ出すのが有効だ」と解説した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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