神奈川県のとある一軒家に住む竹内さん(仮名・45)。6畳一間の部屋の中、漫画やCD、プラモデルなど好きなものに囲まれ暮らしている。
彼は実家に暮らし続けている、いわゆる“子供部屋おじさん”だ。“こどおじ”に関しては、世の中では揶揄の対象になっており、「1人暮らししたことがない=自立できないやつ」「いい年した大人がいつまでも親と暮らしているなんてみっともない」という声が上がっている。
『ABEMA Prime』は2019年にも竹内さんを取材。大学卒業後、パソコン部品の販売会社に就職するも1年で退職。その後はフリーランスとして、自主ゲームの制作・販売を仕事としてきたことを聞いていた。それから4年、竹内さんを取り巻く環境は大きく変わった。
「母が亡くなったのが一番大きかった」
2022年、身の回りのことを全てやってくれていた母親が他界。洗濯は自分でやるようになったが、食事は一緒に住む父親や弟が毎日弁当を買ってきてくれる。自主ゲーム制作による月収は約2万円。生活費のほとんどが、今年73歳になる父親頼りになっているという。
「父もある程度歳を重ねているし、ずっと働けるということはない。その後、自分がやるとなったら、お金が今のままでは足りないという感じはある」
親が引きこもりの子の面倒をみる“8050問題”も取り沙汰される中、番組でその是非を考えた。
子供部屋おじさんを続けてきた経緯について、竹内さんは「子供の頃からの当たり前がずっと継続している感じだ。どうしてという理由は特にない」と回答。実家を出ようと思ったことはなく、親から促されたこともないという。
平均的な月の収支は、収入が5万円(ゲーム制作2万円+父親からのお小遣い3万円)、支出が2万8000円(インターネット6000円+携帯とサブスク2000円+雑費2万円)で、2万2000円のプラス。「(お小遣いは)現金で、不定期にその都度。あまりいいことではないが、いただけるならという感じだ」。そのほか、食費や光熱費、年金・保険の援助を受けている。
「親の負担にはなっている」という実感は持っている一方、同居の経済的メリットも感じていると語る。「(一人暮らしの)家賃や光熱費は、多めにみれば月10万円くらいになる。実家に住めばそれが年間100万円ぐらい浮くが、僕は20年住んでいるので2000万円ぐらい得したことになる」。
ただ、ゲームの売上次第では、年末に日雇いのバイトで数十万円を稼ぐこともある。「行ってみるとわかるのが、けっこう人手不足で仕事はある。時給も高いので、日雇いに行けばいいんじゃないかなと。自分的には“オプション”として残しているつもりだ」との考えを明かした。
“8050問題”についてはどう思っているのか。「お金の問題なのではないか。今のところはゲームが売れていないのだが、自分がお金を稼げれば解決するのかなと思う」とコメント。親の死後についても、「孤立するといっても、根本的には皆さん1人だと思う。そんなに重く考えておらず、問題があるとしたらやはり金銭面だけだ」と述べた。
こうした話を受けて、フリーアナウンサーの柴田阿弥は「竹内さんはコミュニケーションがとれるが、本当に課題になるのは、仕事に就けず支援にもアクセスできない人たち。放置状態になって命を救えないことと、好きで暮らしているのとは違うと思う」との考えを述べる。
港区議の斎木陽平氏も「竹内さんは『困った時は稼ぎにいく』『日雇いをやっていく』と設計できているのでいいと思う。そうではない方々を社会でどうバックアップしていくかは大きな課題だ」と指摘。「8050問題を考えた時、日本全体としては社会保障制度に対する“増税感”というか、“何ひきこもってるんだ”という空気がある。サポートしようとすると大きな反発があり、予算を回しにくくなっていると感じる」と懸念を示した。(『ABEMA Prime』より)
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