独特の感性は、トップ棋士同士でも共感することは難しいようだ。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」予選Aリーグ第2試合、チーム渡辺 対 チーム中村の模様が6月8日に放送された。チーム渡辺から岡部怜央四段(25)を送り出した第2局では、渡辺明九段(40)と山崎隆之八段(43)がトークを展開。“山崎ワールド”全開の将棋観に、渡辺九段は「それは私の知ってる将棋ではない」とぶった切り、ファンを爆笑させていた。
山崎八段といえば、ヒューリック杯棋聖戦で自身15年ぶり2度目のタイトル挑戦を決めるなど、将棋界の“旬の人”として大きな注目を集めている。実績はもちろんのことながら、ファンを最も魅了するのがその独特の棋風だ。形にとらわれることのない自由な指し回しは唯一無二のもの。他の追随を許さない、独特の世界観を築き上げている。一方、渡辺九段はタイトル31期の実績は言わずもがな、“真夏の七番勝負”の王位戦七番勝負の挑戦権を獲得。それぞれタイトル奪取を狙う両名のトークとあり、ファンの視線をくぎ付けにしていた。
初戦で白星を飾った岡部四段の連投となった第2局を控室から見守っていた両者は、盤面についての互いの見解を述べ合いながら、話題は互いの将棋観となった。
山崎八段「僕はこれで5三玉が快感を得るんですよ」
渡辺九段「キモイ世界だ(笑)。私の知っている将棋の世界ではない」
山崎八段「たしかに。良い子はマネしないでください(笑)」
渡辺九段「“山崎・糸谷(哲郎八段)”の世界は私の知っている将棋ではないので」
山崎八段「意味はわからんけど、なんか快感を得るんですよね」
渡辺九段「(山崎八段と糸谷八段の出身地の)広島の将棋は…」
山崎八段「広島、で一緒にすると広島の人に失礼かもしれない(笑)」
“快感”、“私の知っている将棋”と不思議なワード連発のトークに、ファンは興味津々。両者がキャッキャと笑い声を上げる様子に、視聴者からは「カイカン、、?」「いいなこのコンビ」「山崎ワールド」「おもしろいww」「仲いいな」「広島の将棋ww」「面白すぎるw」などのコメントが寄せられていた。
対局は、岡部四段がチーム中村の渡辺和史七段(29)との雁木の一戦が激しい攻め合いに。その中で渡辺七段に的を絞らせない指し回しを見せた岡部四段が勝利し、チームに開幕連勝を持ち帰っていた。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)