6月9日(日)国立代々木競技場第一体育館にて「RIZIN47」が行われ、堀口恭司がセルジオ・ペティスと約2年半ぶりに再戦。前回の対戦で敗れている堀口がフルラウンド攻め続けて、ペティスへのリベンジを果たした。
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昨年大晦日に神龍誠に一本勝ちし、初代RIZINフライ級王者となった堀口。2024年の初陣は2年半前=2021年12月のBellator級バンタム級タイトルマッチで逆転KO負けを喫しているペティスとの再戦だった。この試合は当時Bellatorのベルトを保持していたペティスが堀口を挑戦者に迎えての防衛戦で、4R途中まで堀口が優勢に試合を進めるなか、ペティスがハイキックからのバックブローという意表をつく一発で堀口を沈めている。
堀口にとってペティスは「やり返さないといけない」相手で、本来フライ級の堀口がバンタム級に階級をあげる形で試合を決意したのも「ここを逃したら、リベンジするチャンスがなくなる」からだ。
前回の対戦を振り返ると、堀口はレスリング力でペティスを上回り、テイクダウンを重ねて試合を支配していた。今回もスタンド(打撃)の時間が長くなればペティス、そこを短くして組みの時間が長くなれば堀口に分があると見られた試合だ。
はたして、試合は前回同様に堀口がテイクダウンを軸に試合を組み立て、ペティスを攻め込んでいく。3Rにペティスの左フックでスリップダウンした場面こそあったものの、そこもすぐにポジションをリカバリーして対処した。試合を通じてペティスが繰り出したバックスピンキックや回転蹴りなどトリッキーな技にも対応し、堀口自身がパンチをヒットさせる場面も作り、文句なしの判定勝利でペティスへのリベンジを果たした。
試合後にペティスは「色々と対策をしてきたけどまだまだだった。彼のレスリング技術は素晴らしいし、2Rまで上手く試合をコントロールされた。まるで前回の延長戦を戦ったような感じだった」と話しているが、なぜ堀口は前回同様の試合運びが出来たのか。それは堀口のスタンドでの立ち位置=距離の設定だ。
前回の対戦はBellatorが円形のサークルケージを採用していることもあり、堀口はケージ内をサークリングしながらテイクダウンする時間が比較的長かった。しかし今回は積極的に前に出ることを心掛け、近距離での戦いを挑んだ。
「(前回から変えたことは?)あまり距離を取らずに近場で勝負しましたね。あまり距離を取ると回転系の技が当たっちゃうので。だから距離を近場にして。向こうの方がスピードが遅くて、自分の方がスピードがあるので、あっちがパンチを振り回す前に入っちゃう感じです。あっちはスピン(回転)系の技も狙っていたと思いますけど、それを自分がさせなかった感じですね」(堀口)
対戦相手のファイトスタイルに合わせて、自分が勝っている部分で勝負する。そして一度戦った経験を踏まえて、戦術や戦略を練る。ペティスへのリベンジは堀口恭司のMMAファイターとしての完成度、そして格闘技IQの高さが引き寄せたと言えるだろう。
文/中村拓己
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