【写真・画像】政治学者「皇族減少の問題と皇位継承の問題は本来別!」…“女性皇族が結婚後も身分保持”だけでなく議論すべきこととは? 1枚目
【映像】ギリシャ訪問中の佳子さま、華やかな衣装の数々
この記事の写真をみる(5枚)

 安定的な皇位継承を巡り、先月から行われていた与野党代表者らの協議。“皇族数確保”に向けて議論が進められたが各党の主張は分かれ、今の国会中の意見の取りまとめは困難な状況になっている。

【映像】ギリシャ訪問中の佳子さま、華やかな衣装の数々

 7日、昭和天皇が埋葬されている東京・八王子市の武蔵野陵を参拝された秋篠宮ご夫妻の次女・佳子さま。8日間に及んだギリシャ訪問を報告された。

 日本とギリシャの外交関係樹立から、今年で125周年。ギリシャ政府からの招待を受けて現地を訪問された佳子さまは、記念式典への出席など連日精力的に公務に臨まれた。

【写真・画像】政治学者「皇族減少の問題と皇位継承の問題は本来別!」…“女性皇族が結婚後も身分保持”だけでなく議論すべきこととは? 2枚目
拡大する

 多岐にわたる皇室の公務。4月以降だけでも150回を超える。その公務を担う皇室の人数は現在17人。結婚後の皇籍離脱や高齢化などもあり、一人ひとりにかかる負担は年々増加している。

 春の園遊会で、皇族数の減少が浮き彫りになった場面があった。三笠山という小高い丘の上に並んだ皇族方で、天皇陛下と秋篠宮さまのほかは全て女性であった。
 
 現在、女性皇族で結婚していないのは、愛子さま、佳子さまら5人。今後結婚された場合、皇室典範に従い皇族の身分を離れるため、皇族の数は先細りしていくことになる。

 また現在、皇位を継承する資格を持っている男性は3人。その中で次世代を担うのは秋篠宮家の長男・悠仁さまただ1人。皇族数の確保が喫緊の課題となっている。

 こうした中、安定的な皇位継承の在り方や皇族数の確保について、先月から衆参両院議長と各党代表者らによる協議が始まっている。

 皇族数の確保に向け、「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」、そして「旧皇族の男系男子を養子に迎え皇族に復帰させる案」の二つの案について議論が進められた。しかし「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」における結婚後に生まれた子どもの身分など、各党の主張が分かれることに。

 朝日新聞によると、衆参両院議長は今国会の会期末を目指す「立法府の総意」の取りまとめを先送りする方針を固めたという。

【写真・画像】政治学者「皇族減少の問題と皇位継承の問題は本来別!」…“女性皇族が結婚後も身分保持”だけでなく議論すべきこととは? 3枚目
拡大する

 この課題について、政治学者の佐藤信氏は「まず前提として、『皇族減少』の問題と『皇位継承』の問題は別だ。例えば、仮に皇族を増やしても、その人たちに皇位継承権があるかは別」と指摘した。

 そして、この問題が議論されている経緯について「現上皇の生前退位をめぐる議論の際に、政府としては今回だけ『特例で』生前退位を認めるという方針だった。そして国会は、特例法を認める代わりに、女性天皇などの問題も含めて時間をかけて議論し、安定的な『皇位継承』のための検討を今後行うよう付帯決議を行い、政府にボールを投げた」と説明した。

 佐藤氏は「今の国会は“難しい問題”を後回しにしている」と指摘。

 「政府は有識者会議を作り、『女性皇族が結婚した後も皇族に残る』『男性の旧宮家を皇族に復帰させる』という案を出して、現在すっかり『皇族減少』の問題が報じられているが、元々国会が議論すべきとしていたのは『皇位継承』の問題であることを忘れてはいけない。皇族の減少にどう向き合うかという問題も重要で、皇位継承の問題に連関はしているが、難しい問題をとりあえず置いておこうとしているかのようだ」

 そして皇族数の確保が求められている背景については、「『日本国、国民統合の象徴であるところの天皇と、国民との一体性をいかに保つか』は大きな課題になってきている。とりわけ平成の時代には被災地など国民の中に入っていくことで国民と共にある天皇像・皇族像を作ろうとされてきた。そのためには様々なポイントで国民と触れ合うことが重要で、また、グローバル化が進む中で外遊も必要となるなど公務が膨らんでおり、そんな中、少なくなってくる皇族たちで賄うことが困難になっているのが現状だ」と説明した。

【写真・画像】政治学者「皇族減少の問題と皇位継承の問題は本来別!」…“女性皇族が結婚後も身分保持”だけでなく議論すべきこととは? 4枚目
拡大する

 ところで国会で議論されている「旧宮家の男系男子が養子として皇族復帰」とはどのようなことなのか?

 佐藤氏は「戦後に皇室をスリム化した際に民間に出た男系男子の方々を養子として戻すというもの。皇族に復帰することで継承権がどのような順位で認められるのかなど難しい点はあるものの、将来的には皇位継承とも連関しており、男系男子の維持、ひいては安定的な皇位継承につながると考える自民党などは賛成している」と説明。

【写真・画像】政治学者「皇族減少の問題と皇位継承の問題は本来別!」…“女性皇族が結婚後も身分保持”だけでなく議論すべきこととは? 5枚目
拡大する

 皇族の議論において、「女系天皇」「女性天皇」の違いも重要なポイントである。この点について、佐藤氏は以下のように説明した。

【現在の「男系男性」の場合】
「天皇の子どもに男性がいると、当然その方には皇位継承権がある一方、女性ならば皇位継承権がない。その方の子どもも同様だ。そもそも現在の制度では結婚すると皇室を離脱してしまう」

【女性天皇は有り、女系はなしの場合】
「この場合、男性の天皇から男性の子どもが生まれても、女性の子どもが生まれても、どちらも皇位継承権がある。その男性から生まれた女性にも皇位継承権がある。しかし、女性が皇位を継承して女性天皇となっても生まれた子どもは性別にかかわらず継承権がない」

【女系は有り、女性天皇はなしの場合】
「(具体的に議論されることは少ないが、女性と女系の違いを明確化するために示しておくと)天皇から生まれた女性には皇位継承権はないが、その女性から生まれた男性については継承権がある」

【女性天皇も女系も有りの場合】
「女性も女系も継承権有りとなると、当然全員に継承権があるというシンプルな形になる」

 最後に、現在の国会の議論について佐藤氏は「そもそも世論調査をみると(『皇族減少』についても『皇位継承』についても)現在国会で有力な案とは差がある。わたしたちにとってふさわしい象徴が何なのか、国会を通じて意見を伝えていくことが求められる。そのためには、各政党は『皇族減少』だけでなく『皇位継承』という難しい問題についても旗幟鮮明にするべきだ。また、今回の各党協議の映像をみても多様性に欠けており、ジェンダーだけではないが、多様な声を国会に反映させていくことの重要性も感じられる」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)

【映像】着物だけじゃない 佳子さまの華やかな衣装全部見せ!
【映像】着物だけじゃない 佳子さまの華やかな衣装全部見せ!
佳子さまが「着物で104歳の手を握り続ける」「マチュピチュで“雨ガッパ”ご着用」 気になる結婚の話も… 宮内庁担当記者が選ぶ2023年のベスト“胸熱シーン”【海外編】
佳子さまが「着物で104歳の手を握り続ける」「マチュピチュで“雨ガッパ”ご着用」 気になる結婚の話も… 宮内庁担当記者が選ぶ2023年のベスト“胸熱シーン”【海外編】
「5年前の佳子さま」と「今の佳子さま」の“違い”を元宮内庁職員が分析 着物・ワンピース…「服装」にも変化が
この記事の写真をみる(5枚)