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【映像】選手らが手がける「新宿の日」の舞台裏

 東京・新宿からJリーグ参入を目指すJFLのチームが日本サッカーの聖地で試合を開催。社長、選手、東京五輪出場のなでしこジャパン選手も運営に加わり社員総出で創る「新宿の日」。その舞台裏に密着した。

【映像】選手らが手がける「新宿の日」の舞台裏

辻:日本サッカーの聖地、国立競技場にきています。ここで試合を行っているのはJ1でもJ2でもJ3でもなく、4部相当のJFLのチームなんです。金曜日の夜ですがかなりお客さん入っています。

 この日、試合を行っていたのは、JFL(=日本フットボールリーグ)に所属し、新宿をホームタウンとするクラブ「クリアソン新宿」。2005年に誕生し、2018年、現在のチーム名に改名。「大都市×サッカークラブ」をテーマにJリーグ入りを目指している。

 そんなJFLのチームがなぜ国立競技場で試合ができたのだろうか? ABEMA NEWSの辻歩キャスターが、Criacao(クリアソン)の丸山和大代表と舞台裏に密着した。

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丸山:これはいい空間ですよね~。
辻:これはすごいですね。やっぱりクリアソン新宿のスポンサーの方も“新宿の日”を楽しみにしている?
丸山:パートナー企業が社員や取引先とかも呼んで頂いて、みんなで新宿を盛り上げようというかたちでお祭りみたいに楽しんでもらっている感じですね。

 「社会に豊かさを届ける」「世界一のサッカークラブ」を目標にかかげているクリアソン新宿。国立競技場があるのはホームタウンの新宿区。ここでの試合は3回目だ。試合当日はサッカーだけでなく、「新宿の日」と題して大人から子どもまで楽しめる多くのイベントを開催。会場全体が一体となれるような企画で盛り上げる。

 ただ、この大規模イベントに対して運営に携わるクリアソンの社員は20人程度。イベント会社などにも委託しているが、丸山代表も座ってはいられない。

辻:丸山さんも手を動かして?
丸山:みんなで楽しくやってます。人手は足りてますか?
社員:ギリギリです(笑)

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 そんな中、気になる女性が…

辻:すみません、女子日本代表の籾木選手ですよね?
籾木:一応そうです。

 なでしこジャパンとして東京オリンピックに出場した籾木結花選手(レスター・シティWFC所属)が会場設営をしていた。籾木選手はクリアソンの社員の1人で、シーズン中にはリモートで、オフシーズンには帰国して会社の仕事をしているという。

籾木:自分は「サッカーをする方で世界一を目指す」、クリアソンは「サッカーを文化としてつくっていくことで世界一を目指す」。両方をやれているのは、サッカー選手としてなかなかできないので、1つ1つ細かい作業ですけど『これが世界一に繋がっているんだ』と思うと、明日の試合を特別なものにしたいなと思う。

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 同じように、クリアソン新宿の選手も社員として働いている。仕事中のMF 西山大輝選手に声をかけた。

辻:これは何をされているんですか?
西山:やっていることは明日のチケットの枚数を数えているんですけど、団体で来られる方の席をどう振り分けようかなと。選手兼社員として働いています。
辻:明日試合…
西:そうです(笑)
辻:練習は?
西山:今日も10~12時で練習して、ご飯食べてここに戻ってきました。

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 普段の試合は平均動員900人程度。国立競技場は桁違いのチケットを準備するため時間もかかる。選手含め社員一丸となって進める「新宿の日」。そもそも、なぜ大都会「新宿」でサッカーチームをつくったのだろうか。

丸山:東京は今J1に3クラブ、素晴らしいクラブがあって非常に盛り上がっている中で、23区に目を向けると、一番「人・物・金・情報」が集まっているところにクラブがない。この新宿というど真ん中でやるということは当時は鼻で笑われたチャレンジでしたけど、徐々にみなさんのおかげで形にしていただいているのかなという感じですね。

 例えばイギリスでは、複数の強豪クラブがロンドン中心部を本拠地に。その成功例から、丸山代表は「東京23区内にも都市型クラブが必要だ!ビジネスチャンスだ」と思い新宿でサッカークラブを立ち上げた。

辻:地方のクラブが苦労するスポンサー集めは?
丸山:スポンサー獲得において新宿は圧倒的な強みだなと。少し電車に乗れば日本を代表するような素晴らしい企業から、中小企業でも歴史のある企業や、サービス業、飲食業含めて経済的な営みをされてその総数は桁が違うので。がんばった分だけ自分たちがよりよい環境を得られる。

 今回の国立開催で丸山代表が心配していたのは、観客動員数。JFLからJ3に昇格するためには、成績に加え、ホームゲーム15試合の観客動員数平均2000人以上という条件がある。これをクリアするためにも今回の動員数はとても大事な数字になってきます。

辻:今年の「新宿の日」の動員数の目標は?
丸山:最低ラインとして、歴代最多16218人は超えたい。2万人という数字はいけたら本当にいいなーと思いますし、このあともいろんな人にメールを打ちまくって「来てください!」「チケット買ってください!」と頑張りたいと思っています。

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 そんなチームには今年、フットボールアドバイザーとして日本代表でも活躍した森岡隆三さんが加わった。

辻:新宿にサッカーが根付くポテンシャルはある?
森岡:十分すぎるくらいある。サッカーってボール1つを共通言語としていろんな垣根を越えていく。言語やハンデ、宗教的な問題も含めていろいろな垣根を越えていく、そういう存在だと思っている。それをクリアソンが体現している。

辻:フットボールアドバイザーの立場として、ギリギリまで選手がサッカー以外の仕事をしているのは心配?
森岡:選手に必要なのはトレーニング量の確保、栄養の摂取と休息、ここは間違いないんですけど、実際に選手たちもパートナーの人たちと接点があって見に来てくれて、その応援を背に力を発揮しているというサイクルが生まれている。簡単に言ったら、イヤイヤやっているんだったらやんない方がいい。でもイヤイヤじゃないんで、それが力になっているのは間違いない。

 試合前、丸山代表はスポンサー1社1社に丁寧にあいさつして回る。試合開始が近づくにつれ、運営スタッフの動きがあわただしくなってきた。

スタッフ:(どうしたんですか?)選手パネルが倒れてるみたいなので確認に行ってきます。

スタッフ:(何かあったんですか?)飾ってはいけないところに選手の横断幕を貼ってしまっているのでその対応を。我々のホームページの書き方がよくなかった。貼ってしまったものを修正いただいています。

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 そして、この日のクリアソン新宿対ティアモ枚方の試合が午後7時にキックオフ。気になる観客動員数は、16,480人だった。

辻:今日の国立競技場での試合はJFL史上最もお客さんが入った試合になりました。公式発表で1万6千人以上。私もJFLの試合を何度か見に来ていますが、全く違う光景が広がっています。

 試合はクリアソン新宿1-4ティアモ枚方という結果になった。

辻・丸山:お疲れ様でした。
辻:すごい光景でしたね。
丸山:そうですね、試合はあんまり見れてないんですけど雰囲気は最高のものをつくっていただいたんで、やっぱり勝利でみせなきゃいけないですね。
辻:サッカーを通じて新宿に繋がっている感じは?
丸山:そこはもう確信に近いものがあって。方向性は間違っていないと思うので、しっかり地道にステークホルダー(地域社会・住民)の方とつながり合って。我々には国立競技場など爆発させてもらえる場所があるので、サッカーと事業と両面でがんばっていきたいと思います。

(『ABEMA Morning』より)

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