これまで岸田総理について青山氏は「パー券裏金問題、安倍派崩壊後の人事を巡って麻生氏次第で岸田政権は崩壊」「派閥解散で麻生氏は岸田総理を見放す」「岸田総理の支持率を上げる最後の一手は石破幹事長」と、さまざまな表現で崖っぷち具合を表現してきた。
岸田総理が詰んだ理由その1は「政治資金規正法改正案を巡るゴタゴタ」だ。「『信用してくれと言ったから信用した』と報告を聞いているので、完全にそれをひっくり返すのであれば嘘つきですよね」と強い言葉で批判するのは日本維新の会の馬場伸幸代表。岸田総理は5月末、馬場代表と旧文通費の使途公開などを義務付ける法整備などに合意した。維新はこれを踏まえて政治資金規正法の改正案に賛成したのだが、旧文通費の今国会での改正について自民党の国会対策委員長の浜田靖一氏は「日程的に見ると厳しい」と発言。これに馬場代表は約束を破ったと激怒しているそうで、青山氏は「維新の会が参院で反対に回る可能性がある」と分析した。
2つ目の理由は「麻生太郎副総裁の大激怒」だ。政治資金パーティ券購入者の公開基準額について、公明党の山口那津男代表は10万円超から5万円超への引き下げを要求。これに対して麻生副総裁は周囲に「譲歩してはいけない」と反対していたが、岸田総理は衆議院で政治資金規正法の改正案を通すため、公明党の要求を丸呑みした。これに麻生副総裁は周囲に「将来に禍根を残すような合意を勝手にやるやつは外交とかも任せられない」とG7に出席していた岸田総理に大激怒。岸田総理が外遊前に求めた会食も出席しなかったという。こうしたなか外遊の留守中に、麻生副総裁は同じく岸田総理と距離がある茂木敏充幹事長と3時間におよぶ2人だけの会食をおこなった。9月の総裁選を見据え、今度の見通しなどについて話し合ったと見られる。
青山氏は「岸田さんは再選をずっと考えてきた。本当なら国会の会期末で解散して『国民から信を得た』ということで総裁選に再選するということを描いてきたが、もう解散できるような状況ではない」「だから総裁選で勝つしかない」と解説。
「この国会が終わったら次の総裁選に出ますと早々に宣言して、内閣改造で石破氏を幹事長に入れて、いま一番世論で人気がある人を幹事長に抱え込むことで石破氏を出られなくする」。さらに現在でも50人以上の派閥を持つ主流派の麻生氏を抱え込み、総裁選でギリギリ勝ち切ることを最後の望みにしていたのだと説明した。
しかしそこに維新の馬場代表が激怒した件と、公明党の条件を丸呑みした件が不安材料になっていると指摘して「仮に選挙に負けたとしても維新と公明党とパイプを作っておけば、自民党はいざとなれば維新を抱き込めば連立が続く。そういう仕組みを作れば総裁としてちゃんとやっているという最大のアピールになるはずだった」。しかし付け焼刃で維新と合意したため、約束を守れず怒らせた。「(馬場代表は)『嘘つくやつは許さない』と言って、大嫌いだった泉さん(立件民主党の泉健太代表)とも選挙協力をやる可能性も出てきている」と指摘。
「さらに公明党の案、パーティー券の公開基準が10万円、5万円というのを丸呑みした。これに反対していた麻生氏。その前の日の晩まで『絶対にこれは呑んではいけない』と言っていたのに呑んでしまった。こういうことをするやつは危なくて今回の政治資金だけでなく外交とかも任せられない、つまり国だって売りかねないぐらいの怒りになっている。麻生氏は外交をすごく大事にする人だから、ものすごく大きな発言」と続けて「完全に打つ手がなくなって、9月の総裁選再選の可能性はこの段階でほぼ消えた」と語った。
「ポスト岸田」については主流派の麻生副総裁には茂木幹事長、上川陽子外務大臣、河野太郎デジタル大臣の3人のカード、非主流派の菅義偉前総理には小泉進次郎議員と石破茂元幹事長の2枚のカードがあると解説。しかし小泉氏については父の小泉純一郎氏が「まだ早い、50歳までは」と語っていることと、妻の滝川クリステル氏が去年11月に第2子を出産したことから「いま出てほしくない」といった雰囲気を醸し出しているという2つがハードルになっていると指摘。また、菅前総理が担ぐ候補として加藤勝信議員の名前も挙げた。
主流派と非主流派の勢力の外にいる人物としては高市早苗経済安保大臣、野田聖子議員、小林鷹之議員の名前が挙がり、49歳という若手の小林議員については「40代の総理候補として立てて『ブームが起これば』という動きも出てきている」と解説した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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