千葉県で大量繁殖している「キョン」が、茨城県にも勢力を拡大し、県は写真や動画など、キョンの目撃情報に2000円の報奨金を設定した。茨城県環境政策課の飯村勝輝氏は、「インパクトが大事。2000円であれば、『おっ!』という意識になるのでは」と狙いを語る。
あわせて茨城県では、1頭捕獲するごとに3万円と、千葉県(6000円)の5倍となる報奨金が設定された。千葉県君津市の猟師・原田祐介氏は「千葉の個体を茨城に持っていけば3万円になる。何かよからぬことをするやつは出てくる」と危惧しながら、キョンの繁殖は去年以上になっていると明かす。
ABEMA的ニュースショーでは君津市内を取材。すると、キョンの「ギャー!」という鳴き声が山中に響き渡っていた。住宅地にキョンがやってくるという勝浦市を訪れると、わずかな15分間に15頭も発見した。キョンをめぐっては、収穫前の農作物を荒らす被害が増加しているが、原田氏は「農業より環境被害の方が大きい」と語る。
「(山の斜面を登りながら)全然草が生えていない。自分たちが食べられる食べ物は食べ尽くしている。道路の両サイドにはキョンの好物がたくさん生えるから、夜な夜な道路に出てきて草を食べる。それが、人が獣を目撃する理由だ」(猟師・原田祐介氏)
キョンの猟は、大半が「くくりわな」で行うが、捕獲時に哀願するように泣き叫ぶため、ハンターはとどめを刺すのをためらうという。
原田氏はジビエ料理や雑貨のお店を経営し、「キョンのグラタン」なども提供している。とくにキョンの精肉は人気で、すぐに売り切れるそうだ。試食した取材スタッフは「砂肝に近い。脂身が少なく、さっぱりしていて食べやすい。最高だ」と語る。
環境省によると、特定外来生物を食すること自体は規制されていないが、「キョンの肉に価値を与えると、飼育などの行為でキョンの生息を拡大させてしまう恐れがある」との懸念も示す。
「人間の身勝手でゴミとして捨てられることに一石を投じたい。できるだけ二次利用することで、供養しようという思いだけでやっている。キョンは特定外来生物で、全て駆除しないといけない生き物だが、殺めた生き物は余すところなく使ってやるべきではないか」(原田氏)
原田氏は、千葉県内の小学校で、命の大切さを教える授業を行っている。「子どもたちに『何で(キョンが)いてはいけないのか』ということを、学校教育の中で、周りの大人たちが全く教えられていない。そういう構造にも問題がある」と提唱した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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