【写真・画像】【独自】「コーチには“演技”が必要。あえて“ダメ人間”も見せるべき」 日大悪質タックル問題で打ち砕かれた“教育論” 内田正人元監督が激白(1) 1枚目
【映像】問題となった“悪質タックル”実際のシーン
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 2018年5月、世間を大きく賑わわせた、日本大学アメリカンフットボール部の「悪質タックル問題」。渦中の人物となったのが、当時の監督・内田正人氏(68)だ。6年前の騒動は何だったのか……「QB(クオーターバック)を潰せ」の指示や、自身が作り上げてきた教育論について、内田氏が『ABEMA Prime』の独占取材に応じ、辞任後初めてカメラの前で告白した(聞き手はカンニング竹山)。

【映像】問題となった“悪質タックル”実際のシーン

■「“本当の内田”を考えてもらいたい」

 日大アメフト部の問題で、矢面に立った内田氏。騒動後、大学を追われ、2度のがんを患った。犯罪者かのように追われた記憶が今も忘れられないというが、なぜ今真相を語ることにしたのか。

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内田正人氏(以下、内田):正直に言うと、今日ここでもカメラが向いてることに不安定な部分が出てくるんです。大きなカメラで四六時中やられたので。テレビを見ていても、そういう場面を見ると気持ちがザワザワってしますね。そこだけはまだクリアできていないです。

僕はフットボールをずっとやってきた。子どもの面倒も見ていないし、家族サービスもしていない。“本当の内田”や“内田ってこういう人間だ”っていうことを、この取材を通して考えてもらいたい、残したかったというのがあります。

カンニング竹山(以下、竹山):この6年間くらい、フットボールには接している?指導したいなって気持ちは?

内田:ネット配信のものはほとんど見ていますし、日大の試合は大麻事件の前までは見ていました。年齢的なものと体調もあり、現場に未練はないです。

■『QB潰せ』の指示は「していない」 ただ「僕自身のズレもあったと思う」

 日大と関西学院大学の試合で起きた、悪質タックル。ボールを投げ終え無防備となった選手に、背後から日大の選手がタックルした。大怪我にもつながる危険なプレーで、この映像がネットに投稿されると、瞬く間に拡散。タックルした選手は実名・顔出しで会見し、監督とコーチから「相手のQBを潰せ」という指示を受けたと告発した。

 『ABEMA Prime』は2019年12月、コーチだった井上奨氏も取材している。「悪質タックルは誰が指示したのか?」という問いに、井上氏は「『お前、関学のQB潰してこいよ』『どうする?試合出たいの?潰すんやったら出てええよ』『本気でやれよ!』と言った。(プレー後ではなく)“ハングリーにタックルしてこい!”という意味です。僕の感覚やったら意味がわかると思うんですけど、自分が勝手に思っていたのかもしれない」と証言している。

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竹山:はっきり聞きたいのは、あのゲームで内田監督の指示はあったんでしょうか?

内田:指示はしていない。けれども、練習中においてはもっときついことを言っています。『殺してこい』とまでは言わないけど、『死ぬ気でやれ』とか。それを指示と捉えられたらしょうがない。

竹山:士気を上げるための言葉を試合中だから言ったであろうと。それを彼が誤解したか、違うように読み取って、要は頑張ってしまった?

内田:最終的にはそうだと思いますね。意味を取り違える子が比較的多いです。学生の中には『僕のやり方は絶対これで正しいから、あなたの言うこと聞きません』と言う子がいるんですよ、時々。

竹山:監督の言うことも聞かずに、『いや、俺だ。俺のプレーが正しい』と?

内田:『この練習方法で僕は上手くなりますよ』って子がたまにいるんですよ。そういう子は、指示を取り違えるケースが多いです。

竹山:当時のフェニックス(日大アメフト部)にも、まだそんな子がいるんですか?アメフトは人数も多いし入れ替わりも激しいから、歴代指導した中でそういう選手がけっこういる?

内田:います。でも、すごく真面目。そういう子はちょっと違う方向に行く可能性はあります。僕自身のズレもあったと思います。

■「コーチには“演技”が必要。“ダメ人間”をあえて見せるべき」

 世間では「間違った指導を行った」と揶揄される内田氏だが、日本一を決める「甲子園ボウル」を21回も制した、名門チームを作り上げた人物でもある。

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竹山:どうやって常勝チーム、強いチームに持っていったんですか?

内田:価値観をフットボールだけに集中させること。朝から晩までフットボールを考える。それで次の日になったら授業に出る。やっぱり批判受けたんです。でも、勝つためにはそれをやらなければいけない。

「根性」はすごく大事だと思う。「勝利至上主義」はあまり聞こえは良くないけど、チームの規律をちゃんとしなくてはいけないし、そういう目標を立てて1つになってフットボール漬けになるというのが、その子たちにとって一番プラスになると思います。

片方は、良い選手・エリートだけを集めて勝つ。だけど、もう片方には、叩き上げで勝つチームを作るっていうのも、1つの教育ではある。スポーツの本質というのは、お金持ちであろうと貧乏であろうと、本人がやりたければできるもの。スポーツをやりたいんだけどできない子がどんどん増えていくというのは、よくないと思うんです。

竹山:貧困家庭の子どもがサッカーやりたいと思っても、強いチームに入れないんですよね。

内田:そうなんですよ。そこで“叩き上げのスポーツ”もないと、平等じゃないと思うんです。

竹山:精神論で厳しく指導した子たちが恐怖を覚えるとか、そのスポーツが嫌いになるといったことについては?

内田:そうならないように、コーチが“演技”するんです。精神論だけで指導すると、コーチがイカれてると、学生に思わせてしまう。コーチたちによく言っていたのは、「練習を離れたら“この親父どうしようもないな”というところも見せなさい」と。

竹山:あえて見せなさいと。

内田:あえて“ダメ人間”も見せておくべき。


 長い時間をかけ、指導してきた中で完成した、内田氏独自の“教育論”。それが、あのタックル問題で打ち砕かれた。

(『ABEMA Prime』より)

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