【写真・画像】銃社会アメリカ、“19歳以下の死因1位”でもなぜ規制されない?大統領を暗殺未遂 その時ホワイトハウスは…舛添氏の証言 1枚目
【映像】日本人被害者の服部剛丈さん(当時16歳)

 トランプ前大統領の暗殺未遂事件が起きても、アメリカの銃規制を求める声は、あまり聞かれない。その背景にあるものは何なのか。

【映像】日本人被害者の服部剛丈さん(当時16歳)

 1992年10月、日本人留学生の服部剛丈さん(当時16歳)がアメリカで銃弾の犠牲になった。仮装してハロウィンパーティーに行く途中、訪れる家を間違えて、強盗だと勘違いした住人に、銃で撃たれて死亡したのだ。

 この事件で、銃社会が問題視されたが、アメリカの刑事裁判では、正当防衛が認められて無罪となった。日本では理解しがたいが、アメリカでは「自分の身は自分で守る。銃を持つのは当然の権利」という思想が定着している。

 その後の民事訴訟では、過失責任が認められ、服部さんの両親が勝訴した。銃社会を変えるべく、両親は日米両国で署名活動を行い、182万人分の署名を集めて、当時の民主党・クリントン大統領と面会。民主党は銃規制に積極的な姿勢を示しているが、いまに至るまで銃規制強化は実現していない。

 アメリカでは、2023年の銃による死者が、2万人以上。1日あたり50人以上で、19歳以下で最も多い死因となっている。これまでも多くの重要人物が犠牲になった。1963年にはジョン・F・ケネディ大統領が、1968年には黒人公民権運動の指導者であるキング牧師が、1980年には「ザ・ビートルズ」のジョン・レノン氏が銃撃されて命を落とした。1981年にはレーガン大統領も重傷を負っている。

 レーガン大統領暗殺未遂当時、国際政治学者の舛添要一氏はホワイトハウスにおり、当時の様子について「ホワイトハウス内で大統領補佐官と会議中だった。前日に狙撃事件のあったホテルにも行っていた。犯人との不思議な縁もあった」と振り返る。

「アメリカ政府に東大助教授として『レーガン政権を発信してほしい』と呼ばれ、大統領補佐官と議論していた。するとホットラインが鳴った。周りが撃たれて、レーガン氏は大丈夫だとの一報を受けて会議を続けが、二回目に鳴ったときに『レーガン氏が撃たれた』との連絡があり、全体が大ショックですべてなくなり延期になった」(舛添要一氏)

 銃による無差別乱射事件も起きた。1999年には、高校生2人が校舎内で、生徒12人と教師1人の教師を射殺した「コロンバイン高校銃乱射事件」が発生。直近では2023年に、40歳の男がボウリング場で18人を射殺した「ルイストン銃乱射事件」が起きている。

 これだけの出来事があっても、銃規制が大きな議題にならないのがアメリカ社会だ。CNNによると、2022年のアメリカ中間選挙の出口調査で、有権者が最も重視したテーマは、インフレ(31%)、人工妊娠中絶(27%)に次いで、犯罪と並び、銃規制は11%だった。

 舛添氏は「根本的な問題は、銃はアメリカの建国、民主主義に深く関わるものだということ。自らを守る銃は、キリスト教と共にアメリカ民主主義の基礎だ」「武装はアメリカ憲法修正2条で認められた権利で『武器を所持する権利は侵されてはならない』と明言されている」と指摘する。

 銃規制が進まない事情には、会員が公称500万人とされる「全米ライフル協会」の存在もある。テレビ朝日外報部の中丸徹デスクは「『悪いのは銃じゃない。撃ったのは人だ』というのがライフル協会側の主張だ」と説明する。

 協会はトランプ営にも数十億円を献金していて、トランプ氏は今年2月、「バイデン政権が作った銃規制を全て撤廃する」と約束。暗殺未遂事件の後も、銃規制については言及していない。銃撃を受けたトランプ氏は「ありがとう。でも死ななかった。皆さんの前にいるのは、神のご加護のおかげだ」と述べた。トランプ氏は、ダーウィンの進化論すら学校で教えないとされる、伝統的キリスト教信仰者の「福音派」を支持層に持つ。

 舛添氏は「憲法を改正しないと、銃携行はやめられない」と説明する。「アメリカ建国の理念で、西部を開拓した。クマやオオカミと戦わなければならず、銃がないと自分と家族の身を守れない。心を守るのが聖書の教えで、『キリスト教のアメリカ』であり、『銃のアメリカ』だ。全米ライフル協会の政治力だけでなく、建国に根ざしているため(銃規制は)相当難しい」と解説した。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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