7月28日(日)さいたまスーパーアリーナにて「超RIZIN.3」が行われ、扇久保博正と神龍誠のかつての師弟対決が実現。試合前に激しい舌戦を繰り広げた両者の対戦は、扇久保の判定勝利という結果に終わった。
RIZINフライ級のトップ戦線で活躍する扇久保と神龍はかつてパラエストラ松戸(現THE BLACKBELT JAPAN)の同門で、扇久保が神龍を指導していた師弟関係でもある。
今回はその両者による師弟対決だったが、記者会見での扇久保の「なんでうちの道場を辞めたか言ってみろ」という言葉に対し、神龍が「俺とお前は合わないなって言いましたよね? それを指導員が言っていいんですか」と言葉を返すなど、当時から遺恨があったことが判明。前日計量でもお互いに「殺してやる」と物騒な言葉が飛び交い、中指を立てて挑発して乱闘騒ぎにまで発展した。
そんな危険な師弟対決は、結果から言うと過去の因縁を清算するという試合にはならなかった。お互いが力を出し切ったというよりも、一つ一つの攻防で競り合うような神経戦の末に扇久保が判定勝利。完全決着で雌雄を決すことにはならなかった。
試合後の両者のコメントも対照的だった。神龍は「今は何も考えられない」としながらも「判定では自分が勝っていると思った。すぐ再戦したいです。負けたままじゃ終わらない」と再戦を希望。一方の扇久保は「今までで精神的に一番キツイ試合だった。絶対に負けられない戦いだったんでホッとしているけど(神龍は)一緒に練習していた後輩で複雑な気持ちはある」と試合直後の心境を吐露し、再戦については「ダメージの部分で自分が勝っていると思っていた。今は再戦のことは考えられない」と話している。
両者の感情はどうあれ、ここで試合が組まれて勝ち負けが出たという部分では、すぐに両者が再戦する意味はないだろう。もし再び二人が拳を交える時が来るとするなら、勝った扇久保の「RIZINフライ級のベルトを絶対に獲ろうと思っているので、これからも勝ち続ける。これからは強い外国人と戦って勝っていきたい」という道に、神龍が割って入る時だ。そして神龍がRIZINフライ級のベルトを狙う以上、これから2人が勝ち続ければ自ずとその時がやってくるだろう。
試合後に両者は握手も言葉も交わすことなくリングを降りた。この2人のストーリーは「超RIZIN.3」では完結していない。
文/中村拓己
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