9月におこなわれる自民党総裁選挙への出馬が注目される石破茂元幹事長を政治ジャーナリストの青山和弘氏が直撃。出馬への意欲、そして気になる憲法9条問題や女系天皇の議論について持論を聞いた。
石破氏といえば、総裁選をめぐっては過去4度立候補している。2008年、福田総理の退陣による総裁選に立候補するも最下位。2012年も自民党総裁選に立候補し、1回目の投票では5人中トップだったが過半数に届かず、国会議員らによる決選投票では安倍晋三元総理に惜敗した。2018年は安倍氏と一騎打ちとなったが敗北。2020年は安倍氏の辞任による総裁選に出馬するも、菅義偉元総理に敗れ、自身の派閥・水月会の会長を辞任。 翌2021年、菅氏の任期満了に伴う総裁選では党内支持を集められず出馬を断念した。
9月の総裁選の出馬について石破氏は「推薦人20人揃わないと出馬できませんから」としつつも「いままでギネスに載るほど総裁選挙も出てきました。38年もやってきました。世論調査をやれば一定のご支持はあります。そういう人間が『私はそういう任にはありません』ということは責任放棄という気がしている」と強い意欲を示した。
岸田文雄総理が、ライバル・茂木敏充幹事長の出馬の対抗策として取り沙汰された「石破“幹事長”要請説」。これによって石破氏の出馬を阻止し、茂木氏に対抗するという策だったが、それはどうなったのか。
「そういう話って4月ぐらいからある。ただ明確にそういう要請をいただいたことって一度もない。いろいろ言うけど、子供会の会長を決めるのとわけが違うから。そういうことって直接言われない限り、タラレバの話をしちゃいかんと思う」(石破茂氏)
国民からの人気は抜群だが、総理になれないのは党内での不人気だという指摘もある。世間の評価と党内での評価のギャップについて、本人はどう思っているのか。
「『国民的な支持が高いぞ』と言って舞い上がるほどおめでたくはないつもり。竹下登元総理から言われたが、『石破な、お前自分の言うことがいつも正しいと思って言っているだろう?言っておくがな、正しいことを言うときは人を傷つけるものだってことをよく覚えとけ』と。そういうとこあるかもしれないな」と語りつつも「今は批判をする者は許さない。後ろから弾を撃つ。みんな党内の冷たい視線を浴びるのが嫌だから、あるいは、ポストが与えられないのも悲しいから、じゃあ言うのをやめておこうという。かといって言うべきことを言わないんだったらこんな仕事をやらない方がいい」と自身の考えを述べた。
もし石破氏が総理になったとしたら政治信条は重要度を増す。特に石破氏が発言してきたのは今後の天皇制の在り方についての問題だ。
「我々、安全保障を仕事としてきた者は、あらゆるリスクを考えて『想定外でした』『考えてもいませんでした』みたいなことを言ってはいけない。“悠仁さまがお継ぎになる”、それは当然あるべきこと。でも、その後は一体どうなるの?あるいは、あってはならないことだが、100万が一、1000万が一でもいい、そういうことがあったらどうするの?ということは考えておかなきゃいかんこと。そういうときに女性天皇、男系の。愛子さまだとそうじゃないですか。でもそれはいま、(皇室典範で)男子ということになってるわけだから、男系の女性天皇の可能性、そして女系の男性天皇の可能性、これを全部排除して議論をするというのはどうなんだろうね」(石破茂氏)
そして自民党にとっても、元防衛大臣の石破氏にとって悲願ともいえる憲法改正。特に憲法9条2項が定める戦力の不保持と国の交戦権の放棄については、この項目を破棄し、軍隊的実力を持つ自衛隊を憲法に明記すべきだと主張している。2項を残した上で明記するという公明党との連立を優先する安倍氏以降の政権の考え方と隔たりがある。
このことに石破氏は「立・海・空軍、その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めないというのが9条2項」と前置きした上で「じゃあ25万の自衛隊、戦車持ち、戦闘機持ち、護衛艦持ち。これは陸軍でも海軍でも空軍、その他の戦力でもありませんよ。それどうして?いや、それは必要最小限度だからですよ。だけど北朝鮮に対して必要最小限度のものって、中国に必要最小限度ですか?ロシアに対して必要最小限度ですか?いやいや、いざとなったら伸び縮みするんだよ。そんな簡単に伸び縮みしますかね?それはかなりフィクションに近い」との見方を示した。
「我々が野党のときに散々議論をして、この2項は削除しましょうねと自民党として決めた。よく石破案とか言われるが、あれは平成24年の自民党案で、安倍氏が総理となって政権奪還したときに掲げて国民に信を問うた。この2項を削除するというのは大変な議論がいる。この国には50の基本法があり、教育基本法から始まって、安全保障基本法だけがない。だから専守防衛とか非核三原則とか国是と言われますよね、だけど法律でもなんでもない。問題はそれよりも、自衛隊って本当に軍隊なんですか?であれば、最も厳しい規律って必要じゃないですか。最強の組織なんだから。最も厳しい規律に服するんだったら、最も重い名誉がなきゃ釣り合い取れないじゃないですか。当たり前のことですよね。私もいっぱい防衛大臣を見てきたが、全く知らないで大臣だった人はいないとは言わないから」(石破茂氏)
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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