7月30日にエスコンフィールドHOKKAIDOで行われた北海道日本ハムファイターズ対オリックス・バファローズの一戦で、オリックス・森友哉が放った“ホームラン”を巡る判定について、元NPB審判員・坂井遼太郎氏が言及した。
0-0の同点で迎えた2回表・オリックスの攻撃、この回先頭の4番・森は、日本ハム先発・金村尚真に対し、フルカウントとすると、勝負の6球目、真ん中やや低めのカットボールをフルスイング。上手くすくい上げるように振り抜いたこの打球はライトのポール際付近の一塁側スタンドへと飛び込む特大の飛球に。この打球に対し審判のジャッジはファウルではなく、スタンドインでホームラン。日本ハム側はリクエストを要求したが、リプレー検証後も判定は覆ることなく、日本ハム側からすればなんとも手痛い1点となってしまった。
森のこの一打を巡っては、中継映像などでポールの外側を通過しているようにも見えることから、ネット上でも様々な意見が巻き起こることとなった。この件について、NPBの元審判員・坂井氏は、8月2日放送の『バズ!パ・リーグ』(ABEMA)に出演した際に「これがファウルだな、ホームランだなっていうことすら答えを出せないような映像だった。おそらく僕の経験上、ほぼ100%に近いと思うが(現場の審判が)”確証”を得られなかったという答えだと思う」と、リプレー検証の際に、一度出した「ホームランである」という判定を覆す根拠として、「ファウルである」という確証が映像から得られなかったことが、“ホームラン確定”の要因であると推測。その上で坂井氏は、こうした場面で行われるビデオ検証について「映像検証する時は大きく分けて3つある。1つは映像を見て判定通りだと(=判定は覆らない)。2つ目は判定はアウトだったが、映像を見る限りセーフだったから変える。3つ目は証拠が不十分で確証たる映像ではなく変えないというような形」と、参照した映像から判定を覆すに値する確証が得られなければ、最初の判定のままになるという実情を解説した。
その上で、今後のビデオ判定の課題と改善策として「1つは、カメラ台数が圧倒的に少ないので、いろいろな角度から検証ができるようにするのはまず第一だと思う」としつつ、森のホームランを引き合いに出し「先日の打球は1塁審判が判定しているが、1塁からポールまでの距離は大体40~50mくらいあり、そこからさらに高い位置の上方空間の判定をするので、ポールより手前で切れているのか、奥で切れているのかを見るのは本当に難しい。(カメラの増設について)NPBもですが、各球団がどこまでご協力いただけるかも重要」との見方を示した。
また、審判がビデオ判定の際に用いる映像については、「“中継映像”と“球場で流れる映像”の2種類を見ることが多い」と、観客や中継を見ているファンと同じ映像を確認しているとした上で「地方球場の場合はカメラ台数が少なく、映像が少し少なくなる」と説明。さらに、ビデオ検証中に聞こえる“球場の歓声”など、映像以外の情報も入ってくる中から、最終的なジャッジを下さなければならないなど、ビデオ判定における“審判の負荷”に関しても述べた。
(ABEMA『バズ!パ・リーグ』)