去年12月の着任会見で処理水問題など厳しい日中関係に触れた在中国日本大使館の金杉憲治特命全権大使。
大使館宛てには1日に多い時で1万件を超える迷惑電話がかかってきたこともあり、日本大使館は公式SNSを使い、繰り返し安全性をアピールしている。そんな中、金杉大使は4月公式SNSとは別に個人名でアカウントを開設した。
投稿されている内容は公式SNSとは違い、中国に初めて赴任した金杉大使の日常が垣間見えるものが目立つ。中国のSNSで個人名でアカウントを開設している大使はほとんどおらず、異例なことだ。
■SNS運用している現地スタッフを含む大使館の職員
SNSを企画・運営しているのは、現地スタッフを含む大使館の職員。アイデア段階から内容を精査してテーマや撮影内容を決めていく。職員たちが「大使にはここから投げていただいて子どもたちに打ってもらおう」と企画している。今回のテーマは、甲子園球場100周年と“夏の甲子園”開幕に合わせて「野球」だ。
■大使が視察に訪れた北京市内の少年野球チーム「強棒天使」
この日、大使が視察に訪れたのは、北京市内の少年野球チーム「強棒天使」（きょうぼうてんし）の施設。中国各地の貧困地区の子どもたち約100人が共同で生活し、野球だけでなく勉強や文化の教育も行っている。
大使がマウンドに上がると、SNSチームも準備を始める。35度を超える気温の中、3人の撮影部隊は大忙し。約2時間にわたり大使の声や表情を狙っている。撮影した映像は後日、職員自ら編集し、完成した動画は大使が最終確認する。
■金杉大使「若い人へのアプローチは大事」
SNSの運用開始から４カ月でフォロワー数は約3700人。金杉大使は個人アカウントを通して、等身大の姿を伝える重要性について、「日本人の1人である私が北京・中国での生活とか仕事を楽しんでいる模様をお伝えする。炎上の可能性はあるが、そこを恐れてやらないよりは、多少のリスクはあってもやっていくほうがいいかなと。将来を担う若い人にどういった形で日本に関心を持ってもらうのかはすごく大切。若い人へのアプローチは将来に向けてすごく大事だと思う」と語った。
（『ABEMA Morning』より）
