将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」本戦トーナメント1回戦・第3試合、チーム豊島 対 チーム斎藤の模様が8月17日に放送された。チーム豊島はリーダー豊島将之九段(34)が相手のリーダー斎藤慎太郎八段(31)に2連敗を喫したものの、糸谷哲郎八段(35)が2勝、大石直嗣七段(34)が3連勝と大活躍。スコア5-2で勝利し準決勝進出を果たした。リーダーとして初のベスト4入りを決めた豊島九段は「私は全く勝てなかったんですけど、お二人がすごく頑張ってくれて、良い形で勝ち上がれた」とニッコリと微笑んだ。
過去4年、リーダーとして大事な対局を任されることも多く、あと少しで勝ち抜けないなど悔しい思いも重ねてきた豊島九段が、頼もしい2人に支えられて初のベスト4までたどり着いた。この日輝いたのは、第1局から大活躍した大石七段だ。第1局、予選で5勝負けなしの快進撃を見せた三枚堂達也七段(31)と対戦。後手番から一手損角換わりの出だしになると、押され気味の中盤を耐えて反撃開始。5四の地点に設置した馬も攻守に威力を発揮しペースを握ると、チームメイトから「ヤバいか…」「大丈夫そうだが…心臓に悪い!」という厳しい終盤もくぐり抜けて150手で勝利した。
白星スタートで勢いに乗ったのが、第2局に登場した糸谷哲郎八段(35)。高見泰地七段(31)との一局は先手番から雁木に構え、スピーディーな序盤を経由すると、一時は高見七段に勝率70%前後までリードを許すが、ここから「糸谷ワールド」の本領発揮。怪力で局面をひっくり返す剛腕ぶりで、167手の熱戦をものにした。
第3局は豊島九段が斎藤八段に敗れたものの、チームについた勢いは衰えない。第4局、2度目の登場となった大石七段は高見七段との相掛かり戦に89手で快勝。第5局は糸谷八段が三枚堂七段相手に、またもワールド炸裂の指しっぷりで104手で勝利した。
第6局、再び豊島九段が斎藤八段に敗れたが、第7局で締めくくったのも大石七段だった。高見七段とこの日2度目の対戦。後手番から一手損角換わりを採用すると、中盤に迷いなく馬を切り飛ばして優勢を築くほど、冴え渡った。終わってみれば98手の快勝譜。結果的にはリーダー未勝利のまま、チームメイトが5勝を挙げて勝ち上がるという珍しいパターンが生まれた。
この日ばかりはチームメイトに感謝するしかなかった豊島九段だが、試合後はニコニコ。「2人とも序盤から個性を出して、中終盤もしっかりした指し手で、結果を出されていたのですごいなと思いました」と感謝すると、次戦の準決勝に向けては「2人はすごく力が出てきたので、私もリセットして臨めれば」と、リーダーとしての奮起を誓っていた。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)