2024年8月20日(火)、東京・日本武道館および兵庫・AiiA 2.5 Theater Kobe にて開催されたネルケプランニング 30th ANNIVERSARY『ネルフェス 2024』より、オフィシャルレポートおよび舞台写真が公開された。
【動画】ネルケプランニング 30th ANNIVERSARY『ネルフェス2024』
『ネルフェス』は、ネルケプランニングがプロデュース・制作するさまざまなタイトルが一堂に集結する一夜限りのイベント。2008年に第1回、2014年に第2回を行って以来、10年ぶり3回目の開催となった。
▼以下、オフィシャルレポート▼
この日のために書き下ろされた【THE Theme song】のシャウトが場内に鳴り響くロックな幕開けとなった『ネルフェス 2024』。まずはスクリーンにこの30年でネルケプランニングが手がけた舞台のタイトル一覧と印象的な舞台写真の数々が一気に映し出されていく。
ここは思わず一時停止してじっくりと観劇の思い出と共に振り返りたいところだが、そんな余裕はナシ。怒涛のタイムトンネルを見届けたところで 本日の司会、川本 成が登場。ネルケプランニングと関わりが深くトークもお任せの川本が呼び込んだのは...代表取締役社長・野上祥子&酒樽! この日のテーマ・お祭りにぴったりの粋な浴衣姿で開会の挨拶を行い、観客の掛け声に合わせての鏡開き。元気一杯、縁起の良いスタートである。
トップバッターはミュージカル『新テニスの王子様』。30周年を支えた原動力のひとつとも言える、ネルケプランニングの代表作だ。作品紹介の画像がスクリーンに映った瞬間、客席はオールスタンディング! 日本代表キャストによる「オーバー・ザ・シー」から越前リョーマ(今 牧輝琉)と兄・リョーガ(井澤勇貴)とのツーショットを交えた「I’m back」、ファンたちへの愛のメッセージでさらに場内をヒートアップさせる跡部景吾(高橋怜也)の「跡部キングダム」というサプライズ感のある選曲でアピールし、武道館はすでにライブ会場に。さらにドイツ代表キャストも加わってのパフォーマンスは、現在上演中のミュージカル『新テニスの王子様』The Fourth Stage からの楽曲を披露。 2.5次元ミュージカルのパイオニアとしての完成度と“テニミュシリーズ”の熱さを、隅々にまで浸透させていった。
続いて登場したのは舞台『魔法使いの約束』のメンバー。まほステも現在進行形でシリーズ公演を重ねている人気の1作だ。ここは、真木 晶/賢者(大森夏向)の導きで滑らかに作品世界へと誘ってもらえる、柔らかな空気をまとった時間に。<中央の国><北の国><東の国><西の国><南の国>と、それぞれの国から集った10人の魔法使いの歌声は強く神秘的で、「思い出のエチュード」「集いし者たち」「始まりの合図」と、どのナンバーも優しいメロディーとハーモニーが耳に心地よい。
3番手は兵庫会場と生中継で結ばれた神戸セーラーボーイズ。 その名の通り、神戸を拠点に活動している全員10代の演劇ユニットである。メンバーは10名。アピールポイントを交えた自己紹介コールでは見守るこちらの客席からも「(アクロバット)すごい!」「カワイイ〜」などの声が上がる。パフォーマンスはオリジナルナンバー「キズナ=ツナグ」「ボクラカラー」。ペンライトを振り中継映像を見入っていた武道館に向け「ぜひ会いに来てください!」と、とびきりの笑顔でアピールしてくれた。
神戸セラボが起こした爽やかな風を切り裂くように現れたのは、「知る人ぞ知る伝説の舞台」と呼び込まれた舞台「よんでますよ、アザゼルさん。」のアザゼル(小野坂昌也)、ベルゼブブ(置鮎龍太郎)、佐隈りん子(佐當友莉亜)。キャラクターの魅力を最大に引き出すべく俳優がパペット操演も行いながら演じるというスタイルで、作品の特徴がしっかり伝わるナンバー「嫌な時代」でコンプライアンスに囚われた時代にメッセージを投げかける。
新しい感情を引き摺りつつ次に観客が目にしたのは、空気一転のかわいい世界観に包まれた、ミラクル☆ステージ『サンリオ男子』。誰もが大好きサンリオキャラクターを愛する男子高校生たちである。今回のメンバーは<関東サンリオ男子>4名と<関西サンリオ男子 >2名、そして特別出演のハローキティ! エレガントな白のタキシードに身を包んだサンリオ男子がドレスアップしたハローキティを優雅にエスコートする様子はまるでプリンス&プリンセス。「キラキラ」「Can you fall in love?」の2曲でそれぞれの推しキャラへの想いを織り込みながら、“好きなものは好き”な気持ちを伝えてくれた。
女性キャストのみの「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」は舞台・アニメ・ゲームとジャンル展開も豊富なシリーズで、男性・女性ともに人気が高い作品。<スタァライト九九組>の8名による「Star Divine」、<青嵐総合芸術院>3名による「BLUE ANTHEM」に続き、 オールキャストの「ディスカバリー!」ではキャッチーな楽曲の魅力と相まって、センターステージの“舞台少女”たちのテンションに乗せられた客席も大いに盛り上がり。愛城華恋(小山百代)と柳 小春(七木奏音)の次回公演告知への応援の声も大きかった。
フェス後半に向け、ここで情報解禁が。まずは先日公演が発表されていたミュージカル「贄姫と獣の王〜the KING of BEASTS〜」のPV映像が流れ、新たに決まったキャスト続報が映し出されるたびに客席からは驚きの歓声があがった。3月に上演されることも発表され、改めて川本に呼び込まれたレオンハート役の加藤大悟、アヌビス役の福井巴也、ラントベルト役の今牧輝琉、フェンリル役の白柏 寿大、セト役の矢田悠祐が新作参加への抱負を語った。これもまたネルケプランニングの次の10年に向けての新たな一歩である。
続いて舞台「パタリロ!」よりパタリロ・ド・マリネール8世(加藤 諒)と運転手(小林顕作)が「箸休めで来ております〜」と自虐ギャグを交えながらご陽気にステージ上へ。パタリロ殿下の号令でみんな大好き「クックロビン音頭」を嗜んだのち、これも今回のために書き下ろされた「ネルケ音頭」タイム突入で、ここまで出演してきたキャスト陣も再び舞台上へ。法被を着たネルケプランニング社員も客席通路に出てみんな一緒に楽しく盆踊り。音頭で一体になれるのは素敵な日本の文化、笑顔で体を動かしほのぼの空気を共有した。
ほのぼの続き、夏休み!オン・ステージ「パペットミュージカル すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」へ。ネルケプランニングの WELCOME KIDS PROJECT の1つで、あのすみっコぐらしがミュージカルになったのだ。川島夕空、新津ちせ、石田 隼と、人形劇団ひとみ座を含むパフォーマーたちが操演するしろくま、ぺんぎん?、とんかつ...といった 12 種のキャラクターの登場、ほっこりした気持ちが止まらない。「すみっコたちのうたエンディング Ver.」を披露するもセンターステージでもメインステージでも定位置=すみっこにわちゃわちゃと積み重なる様子に「本物だ!」と感動。
近日上演作からはミュージカル「七色いんこ」が登場。絶賛稽古中のカンパニーを代表し、七色いんこ(七海ひろき)&千里万里子 (有沙 瞳)がダンサーを従えて劇中ナンバー「To be,or not to be.」を披露。個性的なサングラスに赤い衣裳のいんこがひとたび歌い出すと、思わず場内からカッコいいものをひたすら見つめるときのため息が。衣裳に合わせてチョイスされたペンライトの赤い波が揺れていたのも美しかった。
そしてここからはラストスパート! 川本が「クライマックス、怒涛のタイトルが続きます!」ともう一段階客席を盛り上げ...『ヒプノシスマイ ク -Division Rap Battle-』Rule the Stage のサウンドが武道館を征服する! 「The Tribe of BATTLE EMCEEZ」イケブク ロ・ディビジョン“Buster Bros!!!”、ヨコハマ・ディビジョン“MAD TRIGGER CREW”、シブヤ・ディビジョン“Fling Posse”、シンジュク・ ディビジョン“麻天狼”、オオサカ・ディビジョン“どついたれ本舗”、ナゴヤ・ディビジョン“Bad Ass Temple”、ディビジョン・ダンス・バトル “D.D.B”の競演で力強いパフォーマンスを披露。ラップによる闘いを体現するキャラクター26名の激しい熱量と、ここまで待ち続けていたファンの熱量がぶつかり合う瞬間を目撃した。
「兄さ〜んっ!!!」の絶叫でミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』パートに客席を導いたのは東海道本線(鯨井康介)。その兄である 東海道新幹線(永山たかし)、西武池袋線(KIMERU)、高崎線(郷本直也)などが登場し、各路線をつなぐ「つながる青春ネルフェス 2024ver.」で鉄ミュの魅力を強烈にアピール(さまざまな色のペンライトの点滅がまるで路線図のように!)。西武の狂気の叫び「会長万歳――!」もお約束。実はネルケ作品には欠かせないレジェンドたちが集う本シリーズ、貫禄を感じさせるパフォーマンスに 「これがあの鉄ミュか!」と心動かされた人々も多かったようだ。
さらにたたみかけるように MANKAI STAGE『A3!』が、元気一杯に弾ける! この季節にぴったりの<夏組>皇 天馬(陳内 将)、 瑠璃川 幸(宮崎 湧)、向坂 椋(野口 準)、 斑鳩三角(本田礼生)、三好一成(赤澤 燈)、兵頭九門(新 正俊) が、限界まで“テンアゲ”のパーティーチューン「Hi High Summer」〜「オレサマ☆夏 summer」で客席を盛り上げる! 続いて原作テーマソングの「MANKAI☆開花宣言」〜「blooming smile」と同作に欠かせないテーマソングでエーステ全ての組の思いも繋ぐ。ライブ経験豊富なメンバー、ほんのり笑いも入れつつ客席をしっかり巻き込んで、突風のように駆け抜けていった。
ラストはミュージカル『刀剣乱舞』。2.5次元ミュージカルを大きく飛躍させるきっかけとなったシリーズだ。「すていじ・おうぷんだ!」の声で 始まったのは、篭手切江(田村升吾)、桑名江(福井巴也)、松井江(笹森裕貴)、豊前江(立花裕大)、五月雨江(山崎晶吾)、村雲江(永田聖一朗)による「STARTING NOW」。客席の熱気も最高潮の中、大倶利伽羅(牧島 輝)&鶴丸 国永(岡宮来夢)「DARA DARA DANCE」へと続き、最後は和泉守兼定(有澤樟太郎)、堀川国広(阪本奨悟)、山姥切国広(加藤大悟)が現在上演中のミュージカル『刀剣乱舞』 和泉守兼定 堀川国広 山姥切国広 参騎出陣 〜八百八町膝栗 毛〜から、公演以外では初公開となるライブナンバーを披露。ライブver.の衣裳を纏った刀剣男士たちがステージ上に揃う様子も華やかで、約2時間半のフェス締めくくりをしっかりと務めた。
熱気の中、「皆様、楽しんでいただけましたか?」と、川本がステージへ。ネルケプランニング公式キャラクターのネルとルケの声を担当した ニーコと寺崎裕香も袖から登場し、楽しかった時間を振り返ってご挨拶。今、ここにいるみんなが共有しているのは、名残惜しい気持ち とやり切った気持ちが混じり合う特別な達成感だろう。その気持ちを受け止めるように再び全登場キャストおよび野上社長が登場。いよいよ閉会だ。
まずは「私たちはお客様にすごく支えられていると強く感じることができました。改めてありがとうを伝えましょう」と野上社長の声掛けでステージ上から客席へ向けて拍手が送られ、さらに「30 年は確かに長い歴史ですが、まだまだ誰かの幸せに寄り添えると思って日々精進していこうと思います。なぜなら皆様の笑顔が我々を支えてくれているから。今の世の中は好きなものを好きと大きな声で言っていい世の中です。だから私たちは頑張り続けたいと思います。これからもネルケプランニングをよろしくお願いいたします」と締めの挨拶。最後はさらに10年後の再会を約束し三本締めできっちりと決めたのち、盛大な銀テープ砲で幕を閉じた。
【文=横澤由香、撮影=大塚浩史(DOUBLE SQUEEZE Inc.)】
※山崎晶吾の「崎」は、正式にはたつさきの字
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