【写真・画像】共産党で相次ぐ除名・除籍、中で今何が? 「ルールを守ってきた。逸脱しているのは組織側だ」「これまでの党の役目は終わった」 当事者に聞く 1枚目
【映像】共産党 低迷する党員数・機関誌『赤旗』購読者数の推移
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 野党の一角で確かな存在感を見せる日本共産党が、党に対し意見や批判をした党員を次々と除名・除籍処分にし、議論になっている。

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 今月6日付で除籍処分を受け、不服を訴えているのは、漫画評論家で2018年には福岡市長選に立候補したこともある神谷貴行氏。共産党側は理由として、神谷氏が委員会の議論の内容を独断でブログで公表、これが党内での自由な発言討論を保障した党規約の精神を踏みにじる行為だとしている。

 去年も党委員長を選挙で選ぶ党首公選制の導入を求めるなど、改革を主張したベテラン党員でジャーナリストの松竹伸幸氏らが除名処分に。志位和夫委員長(当時)は「異論を党内の正式なルートにルールに基づいて表明するという努力を一切しないまま、いきなり外から攻撃した。これはルール違反だ」と述べていた。

 神谷氏の除籍処分につながったのも、松竹氏の除名処分に対し異議を申し立てた中での議論を公開したため。共産党で今何が起こっているのか、『ABEMA Prime』で神谷氏を交え議論した。

■神谷氏「私はずっとルールを守ってきた。向こうが逸脱している」

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 除籍処分について神谷氏は、「私はずっとルールを守ってやってきた。逸脱しているのは向こうだ」と反論する。

「去年の2月、松竹さんの処分について『これはおかしいんじゃないか』『見直したらどうか』と会議の場で発言した。提案は否決されたが、『その決定に従って私は頑張る』と、ごく常識的なことをブログに書いたところ、組織側が違反だと突然言い始めた。よっぽど肩を持ったように見えたのか、地方幹部がそういうことをやって憎かったんだろうとしか思えない。本当に納得がいかない」

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 共産党が「違反した」とした党規約第五条の5では「党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない」としている。これにも、「党の決定そのものを紹介しただけなのに、その最初の部分がいけないという。決定を発表したらいけないとはどこにも書いていない。完全に悪意、狙い撃ちだ。これまでの運用と全然違うことをやっているし、私よりひどいブログを公開している人はいっぱいいる」と訴えた。

 神谷氏は「これまで好きだった共産党ではない」と感じているという。「松竹問題を境に、他の党との関係がガタガタし始めた。この時期と前後して、締め付けが急に強くなった印象がある」。

■「『党内の内部問題は、党内で解決する』の規約を党が違反している」

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 著書に『日本共産党 暗黒の百年史』がある、8年前に共産党から除籍処分を受けた元板橋区議団幹事長の松崎いたる氏は、「『自由にものが言えない』とよく外の人は言うが、党員からするとそんなことはなく、『自由にしゃべれる』と言う人がほとんどだ。私も規約は知っているので、十分気をつけながら書いたりしゃべったりする。ところが、ある日突然、『こんなことを書いただろう』と言われる」と、自身の除籍を振り返る。

 今回の事例については、「福岡県委員会のほうが違反していると思う」と指摘。「規約上、除名は処分だが、除籍は処分には当たらない。党内の処理の問題なのに、福岡県委員会は公式ホームページで『神谷さんを除籍した』、雇用関係についても『解雇した』と表に出してしまったわけだ。これは党規約第五条8の『党内の内部問題は、党内で解決する』に違反している」との見方を示す。

 さらに、「『外に言うな』の“外”というのは、共産党の組織外という意味だけではない。僕は板橋区議団にいたが、その中の話を別の支部にも言ってはいけない。中央から『こういう発言はやめろ』と言われたことを、『今こういう指導を受けている』と地元の支部に相談したら、“外に言うな”の規約に引っかかる。もっと言うと分派活動、反党活動とされる。意見を言い合って変えていけばいいというのはそのとおりだが、『僕はこう思うが、君はどう思う?』『それは賛成』と、党を変えようとすることの賛同を募っただけで分派活動になる」とも続けた。

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 日本共産党福岡県委員会は、神谷氏の除籍について「規約を自分勝手に都合よく解釈しているのであって、実際には規約を守って活動する意思がないものと判断」としている。

■低迷続ける党員数・機関誌購読者数 これからの“役目”は

 共産党の党員数はピーク時の50万人から現在は26万人に、機関誌『赤旗』の購読者数は355万人から90万人に減少。政党支持率は4.0%と低迷している。

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 そんな党の役割として、神谷氏は3つあると語る。「1つ目は、弱者や困っている人を救うネットワークがあり、支部も1万数千ある。これは他の党にはない。2つ目は、裏金問題などでもそうだが、赤旗記者など不正を追及する力があること。私は地方議員の秘書だったが、それを深掘りする作業を一緒にやっていた。3つ目は、今の社会と別の社会を構想すること。政策集団や学者集団がいっぱいいて、大きなリソースがある。これらをメンテナンスして、日本社会でもっと良い役割を果たすということでもっと頑張ってほしい」。

 共産党は今年1月、2000年から委員長を務めていた志位和夫氏が退任し、田村智子氏が新たに就任した。しかし、松崎氏は「委員長の交代というが、志位さんが議長になっただけで、中身は変わっていない」と指摘。

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 また、共産党から離れて思うこととして、「神谷さんがおっしゃったような役目がある時期もあったが、もう終わったと感じている。いろいろ頑張っている人はいるし、議員も真面目だが、別の方向で頑張ってもらいたい。正直、『赤旗』を拡大する時間をもっと政策活動に使えば、もっと良くなると思う」と述べた。

 これに対し、神谷氏は「党の中にルールがあり、そのとおりに時間をかけてやっていけば、元に戻る力はある。しかし、ルールを無視するやり方、王政を取り除かなければ、改革はできないだろう。私は党員に戻りたいと思っているので、この問題を明らかにするために世の中にも訴えるし、裁判も含めて考えたい」とのスタンスを示した。(『ABEMA Prime』より)

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