お盆の北海道・新千歳空港で、異例の大混乱が起きた。8月17日、すでに機内に乗り込んでいた乗客が、改めて保安検査を指示されたほか、2日間で201便が遅延し、36便が欠航した。周辺ホテルは満室となり、空港内で夜を明かした人もいる。
騒動に巻き込まれた林ライスさんは、アナウンスを聞いて「面倒くさいことになったな」と感じた。保安検査のやり直しを行い、11時30分の出発予定が、16時30分と5時間遅延した。しかし、この時点で乗客に、真相は伝わっていなかった。遅延・欠航の理由は、制限区域内にある店舗で使っていたハサミが紛失したためだったが、林ライスさんは「Xを見て気づいた」という。
これまで総飛行時間1万8500時間、地球800周を回った、元JALパイロットの小林宏之氏は、「私の記憶で初めて。前例のないケース」だとコメントする。「テロに使用される危険性があるため、いったん全員、検査し直した。乗客には迷惑だが、安全を確保するためには必要な措置だ」。
制限エリア内の状況は「安全上の機密に関わる」と取材を断られたが、制限区域内にある飲食店によると、包丁などには番号が振られ、毎日個数を確認。使うたび元の場所に戻すなどの管理を行っているという。
ハサミは2日後に発見されたが、その詳細は明らかにされていない。小林氏は「制限区域内の店は広くない。なぜ2日もかかったのか。探すにはそんなに時間がかからない。いずれにしてもクエスチョンマークがつく」と語る。
では、なぜ「保安検査の全員やり直し」で、36便も欠航となったのか。元航空管制官のタワーマン氏は「小さい出来事で30便(以上欠航)はインパクトが大きい」と指摘する。「新千歳空港で見える飛行機は、これから出発するために待っている。1時間もたてば、その飛行機はいない。駐機場を出たり入ったりして、必要な便数を確保している」。
タワーマン氏は、搭乗率が高く、保安検査のやり直しに時間が必要だったことが、遅延や結構につながった要因だと分析する。林ライスさんは「当然イライラしたが、『帰れるならいいか』と待っていた。セキュリティー上だから仕方ない」。
タワーマン氏に解決策を聞いた。「抜本的に解決するなら、『飛行機の中に持ち込めないものは制限区域のテナントにも持ち込めない』ルールにする。ハサミだけでなく、カッターや包丁、バッテリーもすべて旅客の水準に合わせて持ち込む。極端ではあるが、サービスの質を下げて、旅客に我慢してもらう発想が考えられる」。その分コストがかかり、利益が減るとなれば「民間会社として、判断はなかなかできない」ため、「結局、今の状態になっている」と語る。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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