2024年3月に解散したお笑いコンビ・元「ANZEN漫才」のあらぽん(38)。1歳から30年以上一緒にいた幼馴染の相方・みやぞん(39)は独立し、バラエティー番組を中心に活躍している。一方で、あらぽんはというと、本人の意に反して現在は芸人の仕事は少なくなっているという状況だ。そんなあらぽんがいま熱心に取り組んでいるのが「ひょうたんアート」。ABEMAエンタメでは、8月末に個展を初開催したあらぽんに独占密着。あらぽんの挑戦、そして彼を支える仲間たちの姿が見えてきた。
2024年3月に解散…その後は“ひょうたんアート”に没頭
2009年に結成したANZEN漫才は、足立区出身で同じ保育園に通っていた2人が組んだ幼馴染コンビ。みやぞんのギターに合わせて、あらぽんがボケるというキャッチーな歌ネタでブレイクした。
解散後、みやぞんは事務所を離れ、フリーとしてテレビ番組で活躍。あらぽんは“ひょうたん”を使ったアート活動を行っている。
あらぽん「解散を伝えた日の夜から、ひょうたんアートを始めたんです。ずっと頭の中にひょうたんとアートっていいなってあって。じゃあこのタイミングで絶対始めようと思って、その日に1個作ったんです。そこからずっと作っているので、相当な量になったので、もう個展にしようと。(アートを指し)それは全部ストラップです。ちなみにこれ、僕が種からひょうたんも育てているんです。これはひょうたんミニ絵画ですね。こんな感じで、日常に置いてほしいなと思いまして」
その独特な形に惚れ込み、ひょうたんアートを始めたあらぽん。今では仕事のほとんどがひょうたん関係だといい、ひょうたんの町「神奈川県大井町」でアンバサダーを務め、ひょうたんのPR活動も行っている。
「バレたくない」芸人が営業に来るショッピングモールで肩身の狭い思い
一方、お笑い関係の仕事はだいぶ少なくなったという。
あらぽん「(オファー内容は)“ひょうたんアーティスト”としてどうですか?みたいな」
――バラエティ番組に出てくれとかは?
あらぽん「無いですね。もう」
「解散発表して1発目の仕事が初めての舞台だった。結構スケジュールがハードだったので、考える隙がなかった」と振り返るあらぽん。しかし、帰り道など、一瞬の“一人時間”に『そっか、俺一人なんだな』と実感。
あらぽん「でも、それよりも『台詞覚えなきゃ』があって。4月はそうやって乗り越えたけど、5月が暇で。去年までゴールデンウィークはめちゃくちゃ動いていたのに、(今年は)スケジュールがフルで空いてました」
解散後、メディア出演がないことで周りの目が気になるようになったという。
あらぽん「吉本の芸人さんがショッピングモールに営業で来るんです。その時に『やべ、ばれたくねー』って思って。初めて一般の方にバレたくないって思いました。いつも乗っている電車の中吊り広告に、何かの営業のイベントで“みやぞん”って書いてあるのを見た時に、『わっ』て思ったことあります。ここでも『ばれたくねー』ってなるんです。つり革を持ってて、目が合うわけですよ。『うわぁ見てるよ』とか思われたくないなと。エゴサして、バレてないかなとか思ったりしてます」
妻の収入と貯金に支えられる現在「昔は調子こいて家賃24万円のタワマンに住んでいた」
あらぽんの住む注文住宅の玄関には「絶頂期のあらぽん」だという等身大パネルがある。それについて「レギュラーもあって、結構忙しく働いてた時のあらぽんですね。3、4年前です。めちゃくちゃ忙しかったですね、僕ですら忙しかったです。静岡の多分遊園地とかのパレードとか、乗り物とかのおっきいアレを作る会社さんが、実際の僕の等身大あらぽんを作ってくれたんです」と説明。
当時は「天狗だった」と振り返り、「調子こいて家賃24万円のタワマンに住んでいた。30階建ての15階という、真ん中に住んでました」と明かした。
しかし、現在の主な仕事は売れないと稼ぎにならないひょうたんアート。家計を支えているのは、正社員として企業で働く奥さんの収入とコンビ時代の貯金だ。3歳9カ月になる娘の送り迎えは時間に余裕のある、あらぽんが担当している。
ビビる大木「あの頃は、彼にとっての準備期間だった」あらぽんを支えるファンや仲間たち
あらぽんは、8月31日から9月1日にかけて、初となる個展を代官山で開催。会場準備から運営までをサポートしてくれるのは芸人仲間や高校の同級生だ。設営が終わった会場に現れたのは、3月末に放送作家を引退した鈴木おさむ(52)だ。あらぽんの「ひょうたん」について誰よりも早く注目し、アドバイスをくれた恩人である。
鈴木おさむ「元々あらぽんがいい形のひょうたんをくれたんです。それはまだ色もついてなくて。その後に、それをアートにしょうと思ってるって言ってたから『めっちゃいいじゃん』って。僕が放送作家を辞める時に、お世話になった人、近しい関係の人20人くらいに、一個ずつ僕の名前と相手の名前を入れてデザインを変えて(あらぽんに)全部作ってもらったんです。いいですよね。その人しか持ってない、努力で手に入るものではないと思います。アートって描いてる人の物語も大事だと僕は思ってるので。『絶対にやったほうがいいよ』って言ったら、次の年には、(あらぽんは)ひょうたんを何百個と育てていた。色んなアートをやってる芸人さんがいますけど、あらぽんは突き抜けるんじゃないかな。本当に世界に発信してほしいし、全部売れてほしい。(アーティストとして)もっとすごいことになる気がする」
会場には、色とりどりな作品の中、毒々しい色使いで描かれたひょうたんが。それはあらぽんの「処女作」だという。
あらぽん「解散を決めたその日の夜に作ったやつです。意味合いは、独立とか解散とか…色んなことがあった時に心が腐るんです。でも、(ひょうたんを指して)ここに1個宝石が入ってるんです。これ(宝石)が、おさむさんだったり、僕のひょうたんを認めてくれた人が現れてくれて、できたものなんです。気持ちがどんなに腐っても1mmくらい光ってれば、自分は腐らないんだって思えた瞬間だったので、これを作ろうと思ったんです。このひょうたんを見て思ったんです。この子(このアートに使ったひょうたん)って絶対に人に選ばれないんです。“じゃない方”というか。それもあって、この子を使って1個作りたいなと思いました」
また別の日には、台風接近の影響で雨が降る中、1組目に来たのはコンビ時代からの女性ファン。続々とお客さんが来店し、あっという間にフロアは賑やかになった。
女性客は今回の個展について「新しいあらぽんを見たなって言う。すごく前向きになった気がする」と絶賛。1個3800円のひょうたんストラップの売れ行きは好調。あらぽんの友人で漫画家だという男性客は絵画を3点購入していた。
さらに、来場者の中には、過去にレギュラー番組が一緒になって以来、お世話になっているという先輩芸人のビビる大木(49)の姿も。「コンビ解散」という同じ境遇を経験した大木は、いつもあらぽんのことを気にかけてくれるのだそうだ。
ビビる大木「片方だけが大活躍するようになって…みやぞんが『イッテQ』で海外行ってる時も、あらぽんはひょうたんを作ってた。『僕はやることないんで、ひょうたんに集中します』って言ってましたね。だからその頃が、あらぽんにとっての準備期間だったんでしょうね。それで今、こうして個展までやるようになった。『お笑いじゃないことやってんのかよ』みたいに言われるのは、もしかしたらあらぽんは気にしていたかもしれないですけど…僕は単純にとってもいいことやってるなと思って見てました」
大木は「僕は『月刊ムー』が好きなので、これを買いました」と、UFOに見立てた見にひょうたんを購入。「ひょうたんとUFOが合わさってアートになって面白いと思います」とお気に入りポイントを語っていた。
(『ABEMA NEWS』より)
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