元小学校教師の岡田和己氏(26)
【映像】「子どもが好きではなかった」元小学校教師の岡田和己氏(26)
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 現役の教師がネットに投稿したある悩みに注目が集まっている。それが「私、子どもが嫌いなんだけど教師やってて良いのかな?」というもの。

【映像】「子どもが好きではなかった」元小学校教師の岡田和己氏(26)

 街で聞いてみると「できたら子ども好きな方が安心です」「フレンドリーな先生が子どもの担任になってくれると嬉しい」などの声があがった。一方で、「先生として果たさなければいけない事が果たせるのであれば、必ずしも子ども好きな事が条件ではないと思う」という声も。さらにネットでは「教師が全員、子ども好きって幻想では…。だって皆も好きな事=仕事にしてる?違うよね」などの意見があった。

 そもそも、なぜ教師には高い人間性が求められるようになったのか。遡ること明治13年。当時、制定された教育令には「品行不正ナルモノハ教師タルコトヲ得ス(品行不正な者は教員には成れない)」という一文があった。これをきっかけに「教師=聖職者」という認識が世に浸透。高いモラルや子どもへの深い愛情を持つ、そんな教師の理想像を作り上げる一因となった。あれから144年。今も当時と変わらぬ理想像を「教師」に求めるべきなのか。子どもが苦手な元教師と共に『ABEMA Prime』で考えた。

■「子どもが苦手」2年間、小学校教師をやっていた岡田和己氏(26)

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 お笑いコンビ「おかだんち」として活動中の岡田和己氏(26)は2年間、小学校教師をやっていたが、「子どもが苦手」と公言している。教師になった経緯は「大学を選択するときに、家庭環境の問題で国立しか行けない。しかも地元しか行けないとなったとき、愛知教育大学しかなかった。そこが教員養成大学だったので、そのままなった」と説明。

 また、「子どもが苦手でも(教師を)やっているうちに好きになるかもしれない」、「世間一般的に“好き=仕事”は稀でないか」との考えもあったが、教師をやっても変わらなかった。

 岡田氏が子どもを苦手だと感じたのは大学生のときからで「(子どもは)本当に言いたいことが伝わらない。こっちが真剣に話しても、子どもの意見で全部返されて、『子どもだからしょうがない』となってしまうのが苦手だった。その時から会話ができないと思いながら過ごしていた」と明かす。

 周りにも似たような教師はいたのか。岡田氏は「大学にいたときは、子ども好きな子がたくさんいる中での少数派ではあった。大学にいる間、教員になってからも子どもが苦手なことは、ずっと隠していた」と答えた。

■子ども苦手な教師が行なった向き合い方

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 岡田氏は教師時代に、自身の向き合い下手を「授業の質」で補い、信頼を獲得。子どもを「子ども」と思わず、「1人の人間」として接した。子どもとの複雑なコミュニケーションでは他の先生を頼ったという。

「一個の結論として、1対1で子どもと向きあうことは苦手。会話して、相手の気持ちを推し量るのは得意ではない。じゃあ教師として何をしたらいいか考えた時に、1対30の授業をどう成功させるかに特化しようと。例えば、この子の活躍の場を授業の中で与えるという関わり方をした」

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 モデル、ラジオナビゲーターの長谷川ミラ氏は「苦手意識を克服して、プラスにしたことがすごい」と絶賛し、海外での教育を引き合いに「先生の専門は多くの人に平等に教えることが仕事であって、向き合うことが仕事ではない。向き合うのはホームルームの先生など、分業がされている。教えることが仕事なのか、メンタルケアが仕事なのか、日本の教育は一緒になってしまっているからストレスが多くなっていると思う」との見方を示した。

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 36年の教師生活を経て、現在は教師のメンタルカウンセラーの吉田純一氏は「1対30の授業が得意なのは教師としての大きな部分を担える力を持っているが、教師はそれ以外に子どもの可能性や、やる気を引き出したりする、そういう寄り添い方も教師の役割として大事だ。だから日本の教師はいろんな役割を一気に担っている故に、大きな負担がある。ただ、それをうまく分散することによって教師がお互いに協力し合える可能性はある」と述べた。

■教師の求められる像

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 しかし、岡田氏は教師時代、完璧さを求められることが多かったという。一年目から付き添いの上司無しで、最初から担任を任され、一人前の仕事を求められる。また、体調不良を訴える事もままならなく、体調管理は当たり前という空気がある。こうした理由で心が折れて離職した同僚もいた。

 岡田氏は「大学生の時に感じた子どもが苦手と、教師になってからの子どもが苦手は違っている。教師になってからは後ろに親が見える。保護者が苦手よりも子ども30人だけど90人に相対しているみたいな気もしていた」と述べた。

 時代によって教師の求められる像は変わってきているのか。吉田氏は「私たちが教師になったころは、先生を敬う度合いが強かったが、今は対等な関係という感じがする。ただ、かつては私も親から敬っていただいたが、逆に若くてできなかったことに対しても親の方も“先生若いからね。頑張りなよ”と支援してくれる関係にあった。今は対等であると同時に相互尊重の関係だ。どちらが上ではなくて、今は先生の立場も親の立場も尊重し合う時代になってきた」と答える。

 さらに、子どもが苦手だという先生に向けて「子どもと触れ合う中で、何かのチャンスにギュッと距離が縮まることもあるかもしれない。人間関係はそういうものだと思う。決めつける必要はなく自分がやれることをしっかりやっていく中で、そういう関係もうまくいけば作られていく可能性もあるのではないか」と述べた。

(『ABEMA Prime』より)

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