【WRC】第10戦 アクロポリス・ラリー・ギリシャ(9月8日/デイ3)
荒れた路面が特徴のラリー・ギリシャ最終日、最終SS(スペシャル・ステージ)で、ヒョンデチームのオィット・タナックが、全身全霊をかけた鬼神の走りを見せ、ファンを沸かせた。
ラリー・ギリシャといえば、岩や大きな石がゴロゴロしている荒れた路面の「ラフ・グラベル(未舗装路)」ラリーとして知られている。実際、この路面コンディションの影響もあって、競技初日から多くのドライバーがトラブルやアクシデントに見舞われてきた。
そして迎えた競技最終日、デイ3のSS15「エレフテロホリ」。ボーナスポイントが獲得できる最終の「パワーステージ」ということで、ほとんどのドライバーが渾身のアタックを見せるなか、タナックの豪快な走りは特に目立った。
上空からの映像では滑るように快走しているが、低い位置の映像では激しく砂ぼこりをあげて、今にも吹っ飛びそうなほどのスピード感でドリフトを決めている。そしてステージ途中からは、現状トップのフルモーの出した経過タイムを次々に更新し続け、最後はマシンのリアが流れて暴れるのを強引に収めながらフィニッシュした。
フィニッシュ前のシーンは、解説者も思わず、「うわぁーっと、マキシマムアタックだ!」と絶叫するほどの大迫力だったが、フィニッシュ前の「0.9秒リード」から最終的には「1秒遅れ」となってしまい、トップタイム奪取ならず。その瞬間、やはり実況陣が「遅れた!」「負けたんだ!」と叫んだ。
フィニッシュ後のマシンをよく見ると、左フロントタイヤをパンクしている。それだけタナックが限界まで攻めていたということだが、パワーステージは2位という結果に。最終的にラリー・ギリシャでのタナックの総合順位は2位。第10戦終了時点のポイントランキングでも10位に付けているタナックは、年内残り3戦でこれ以上の走りを見せてくれるに違いない。
(ABEMA『WRC 世界ラリー選手権 2024』/(C)WRC)