9月29日(日)さいたまスーパーアリーナにて「Yogibo presents RIZIN.48」が開催され、RIZINバンタム級王座決定戦で井上直樹がキム・スーチョルにTKO勝利。第7代RIZINバンタム級王者としてベルトを巻いた。
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RIZINバンタム級は堀口恭司(初代・第4代)、マネル・ケイプ(第2代)、朝倉海(第3代・第6代)、フアン・アーチュレッタ(第5代)とそうそうたる面々がベルトを巻いてきたRIZINを代表する階級の一つ。6月「RIZIN.47」にて朝倉海がUFC挑戦による王座返上を発表して以降、王座が空位になっていたが、井上とスーチョルの間で王座決定戦が行われた。
井上は19歳の若さでUFCと契約し、2020年からRIZINに参戦。2021年のRIZINバンタム級JAPANグランプリでは準決勝敗退に終わったが、今年3月に佐藤将光を下して今回の王座挑戦のチャンスを掴んだ。一方のスーチョルは初代ONEバンタム級王者で、韓国・ROAD FCでも2階級制覇している実力者。RIZINにも定期参戦し、これまで日本人相手に10戦10勝というレコードも残している。
そんな“日本人キラー”スーチョル対策として、井上が磨いていたものが左のパンチだった。試合序盤こそスーチョルに距離を詰められた井上だが、試合が進むに連れて左ジャブでペースを取り戻し、左フックのカウンターでスーチョルの足を止めると、そこからのワンツー(右ストレート)を効かせて、最後はスタンドバックからのパンチでレフェリーストップを呼び込んだ。
この試合に向けて仮想スーチョルとして、井上のトレーナーを務めた元UFCファイターの水垣偉弥は井上と練ってきたスーチョル対策をこう明かしている。
「左ジャブはもともと直樹くんが持っている武器で、それを上手く使っていこうということは話していました。あの左フックを合わせるのは、まさにスーチョル対策としてやっていたパンチで、僕も仮想スーチョルとして何回も打ち込みの相手を務めていました。あの左フックが当たって、頑張って体を張った甲斐がありました(笑)。
(序盤からペースを取れていた?)開始直後の割にはいきなり近い距離だったので、そこがちょっと危ないかなと思ったのですが、それ以降、特に左ジャブが当たり始めてからはペースが取れるだろうなと思っていました。(井上はジャブやストレートなど真っ直ぐのパンチが強い?)身体がしっかり出来てきたのもあると思いますが、ミットを持っているとかなり重くなっていますね。それもあって今は倒せるものを持っていると思います」
試合後には大晦日での初防衛戦をアピールした井上だが、バンタム級はRIZINでも屈指の選手層を誇る。今大会でも元谷友貴が元オリンピックメダリストの太田忍に一本勝ちし、朝倉海と同じJTT所属の超新星・秋元強真が金太郎をKOするなど、多くのファイターが虎視眈々と井上の首とベルトを狙っている。また歴代4人の王者が誰も王座を防衛していないというジンクスもある。
スーチョルの日本人無敗記録を突破した井上が、RIZINバンタム級のジンクスを打ち破るのか。新王者・井上を中心に動き出すRIZINの超激戦区=バンタム級に今後も注目だ。
文/中村拓己
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