「ひたすら公判で頭下げて、弁護士全体の品位をおとしめるようなことになってしまったと、泣きながら言うしかねーんだよ!」。ある事件で逮捕された当時の弁護士に対して、検事が行った取り調べでの発言だ。
取り調べの可視化は、捜査当局からの猛反対があったものの、2019年に法的に義務化された。元弁護士は、憲法で保障されている黙秘権を行使したが、検察官は「うっとうしいだけ。あなたの狙いなんだろうけども、めんどくさい。『取り調べしてすみませんでした』とか言うんじゃねーの?普通」などの言葉を投げつける。その後、弁護士は逮捕容疑については有罪が確定したが、黙秘権や人格権を侵害する不法行為があったとして、国に損害賠償を求める民事訴訟を起こした。