※性被害のフラッシュバックのおそれがある方は閲覧せずにお戻りください。
「おそらく高校で、教室内でしゃがんでいるようなところを撮ったものとか、廊下で歩いているところを下から撮っているものとか」
ネット上で見つかったのは、学校内で撮影されたと思わしき女子生徒の性的な盗撮画像。中には被害者と思われる生徒の証明写真から、実名まで晒されているケースも。ネットパトロールボランティア「ひいらぎネット」の永守すみれ代表は、子どもたちを性犯罪から守るため、ネット上の盗撮画像を日夜監視している。団体のメンバー5人と協力し、問題の盗撮ファイルを一件ずつ確認。画像の背景や制服の特徴から学校を特定し、学校や警察に通報している。
学校内で盗撮された画像は同級生や学校関係者にしか撮り得ないものだが、それがネット上で売買されている。被害は増え続け、検挙件数は2019年の3953件から、2023年は6933件に。学校や幼稚園では、各都道府県の条例での取り締まりは2019年の23件から2023年は123件に増加、2023年7月施行の撮影罪での取り締まりは46件だった。
どうすれば子どもの被害者、そして加害者を生むことを防げるのか。その方法と課題について、『ABEMA Prime』で考えた。
■動画が1本50円から販売も…「必ず特定できるとは限らない」
ネット上では、動画が1本50円から販売され、永守氏が見せてくれた画面には「20本2000円、40本4000円、60本5000円」という記載と、その上には「いいね」マークも。「盗撮者をそそのかすような、“買います”と言う大人もいる」という。特に悪質なケースでは、被害者と思われる女性の卒業アルバムなどの写真や実名、住所も掲載され、脅迫される恐れもある。
被害の増加は永守氏も体感しているそうで、「過去アップされていた動画が再転載されることがある。総量は減ることがなく、どんどん積み重なっている印象を受ける」。さらに、「機材やタイミングなど、手法を教えるアドバイスのような書き込みもある。そうするように仕向けている大人がいると感じる」とも指摘する。
パトロールしているのは、SNSやネットの掲示板、動画販売プラットフォームなど。「警察は被害が出て、相談を受けてからでないと動かない。私たちは、まだ発覚していない被害がないかを積極的に見に行く」とした上で、「必ず特定できるとは限らず、被害がわかっていても通報まで結びつけることができない歯痒い思いはある」「18歳と19歳はあまり見分けがつかない。高校を卒業している女性に制服を着てもらって作る、“盗撮風”の動画も売られている。それは取り締まりの対象にはなっていない」と難しさを語った。
そんな中でも「私たちの通報から逮捕に繋がったケースは何件もある」そうだが、“潜入”しづらくなっているという。「最近はあまりオープンな場ではなく、鍵アカウントや、招待しないと入れないチャットグループなどで売買やコミュニケーションが行われていると感じる。私たちは民間のボランティア団体に過ぎず、入っていける場所にも限界がある」と明かした。
■提供側も購入側も罰せられる 「社会全体で問題の認識を」
そもそも盗撮は重大な犯罪にあたる。撮影罪では、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金などが課されるほか、撮影だけでなく盗撮画像の提供、提供目的での保管も処罰対象になる。盗撮被害に詳しいレイ法律事務所の河西邦剛弁護士によると、画像の購入者も同じように罰せられるという。また、パトロール活動という目的でも購入は控えるべきだと指摘。捜査機関が「目的を偽り購入する者もいる」と考え、疑いの目を向けられる可能性があるためだ。
子どものスマホ利用率は、小学生が43.7%で、中学生は79.9%、高校生になれば97.8%にもなる。河西氏は「スマートフォンによって手軽に、“自分もできるかな”という軽い気持ちで行為に及んでしまうケースがある」とする。
子どもへの対処について、永守氏は「スマホを持たせるタイミングでルールなどの教育をされると思うが、それでおしまいというご家庭も少なくないのではないか。保護者のリテラシーというのは、各家庭でどうしてもばらつきがあるもの。小学校中学校といった義務教育の場と家庭、どちらでの教育も必要だと感じている」との考えを示す。
また、加害行為をした際の代償は非常に大きいものだと指摘。「学校や地域に居づらくなったり、家族との関係も悪くなってしまう。そして、被害者がどれだけ傷つくのかという想像力を持つこと。他者の性的な尊厳を守ることを根本として伝えていくことが大事だ。私たちが対処できているのは本当に氷山の一角に過ぎない。社会全体でこういった認識を共有して、いくつも対策を練っていく必要がある」と訴えた。(『ABEMA Prime』より)
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