映画『十一人の賊軍』の公開を記念して、日本橋三越本店(1階中央ホール)にて本日10月30日(水)~11月4日(月)まで映画主要キャストの衣裳展が開催される。衣裳展開祭初日となる本日、「赤丹」役を演じた“歌舞伎界のプリンス”尾上右近、白石和彌監督と、本作の企画・プロデュースを務めた紀伊宗之氏がオープニングトークイベントに登壇した。
MCからイカサマ師・赤丹役を演じた尾上右近さんと呼び込まれると尾上は「こんなに華々しくイカサマ師と紹介する機会ないと思います。全国のイカサマ師が喜んでいるんじゃないですかね」と冗談めかし、会場を温めた。
尾上のキャスティング理由と演じた役柄について聞かれた白石監督は本人の前で話すなんて…と恐縮しつつも「今一番色気のある歌舞伎俳優ですし、映画「燃えよ剣」を拝見して素晴らしい俳優だなと思っていました。その映画のインタビュー記事で鶴田浩二さんのリメイクをやりたいとお話しされていて、昭和の大俳優のリメイクを普通は言いづらかったりもすると思うんです。ただそれをはっきりおしゃっていてかっこいいなと思いました。それで会ってみたい、絶対お仕事を一緒にしてみたいと思ったのが今回叶いました。またなんならリメイクするなら僕しかいないんじゃないかと思っています。」と話し、それに尾上は「お願いいたします!」と笑顔で即答。続けて尾上は「白石監督の作品が大好きで、白石さんの作品に出たいと色々なところで話していました。そんな中今回のオファーをいただいたので、嬉しかったです。いろんな縁があって繋いでくれているんだと感謝しているし、願えば叶うんだなと思いました。」と念願叶った出演の喜びを語った。
トークイベント会場は衣裳展の中央で実施。自身の役である赤丹の衣裳に、尾上「薄汚いですね〜」白石監督も「1年ぶりに見ましたが、こんなに汚かったかと….赤丹の役が一番おしゃれなんですけどね」と思わず本音を吐露。続けて赤丹の衣裳のポイントを聞かれると白石監督「映画見てもらえるとこの帽子にも物語があって、いろんなことがあって被り始めるんですけど、そこにもぜひ注目していただきたいです。」尾上「彼はこの帽子を本当に大切にしてますから」と話し、着心地について聞かれると「とても良かったです。ただ夏場は暑かったですね。羽織を脱ぎたいなと思った時もありました。」と現場での様子を明かす、続けて紀伊は「でも山田君なんてバスマットですから」と衝撃の一言。会場からは驚きの声が上がった。また先日28日(月)から開催されている東京国際映画祭に本作はオープニング作品として上映、初日のレッドカーペットにキャスト・監督が登場した。その際劇中衣裳も候補に上がっていたが、山田から食い気味に「絶対嫌です」と秒で断られていたこともあったと、白石監督が暴露した。
ただキャストが嫌がる衣裳にも白石監督なりのこだわりがあるようで、白石監督「綺麗なものより汚れているものが好きなんです。僕の感性に合わせるともっと酷いことになるところでした。でもある程度誰がみてもかっこよくなるものにはしようと衣裳チームと打ち合わせをしてこの形になりました。」紀伊「うまくいったと思います。リアリティがないと冷めてしまうので」と話した。
さらに尾上に初めて会った時のことを聞かれると白石監督「歌舞伎っぽい、お芝居が必要ですかとまず最初に聞かれて、必要ないと言ったらアレだけど、そういうことではなく、この映画の世界観の中に自然といて欲しいということをお願いしました。」と話し、それに尾上は「自分を見てくださってくれていて本当に嬉しかったです。」と笑顔で反応、すると白石監督から「僕が歌舞伎の要素が欲しいと言っていた場合はどうしてたんですか?」と鋭い質問が返され、尾上「そのつもりでしたと答えたと思います…(笑)」と正反対の答えを言っていただろうと正直に答えた。
監督の要望から歌舞伎を封印しての撮影に挑んだ尾上だが歌舞伎の実力が発揮されるシーンが1つあった。そのシーンについて尾上「監督が言ってくださったんですよ、ずっと歌舞伎を封印していたのですが、踊りのシーンは自由に踊ってもいいと。」白石監督「あそこには鞘師里保さんという天才ダンサーもいたんで、妙にレベルの高いダンスが繰り広げられていました」と話した。
大変だったシーンを尾上は「橋のシーンですかね。雨もかけてもらって、大きな扇風機で濡らされて大の大人が大きく揺らすんです。ほぼアトラクションでしたね」白石監督「みんなが一緒にいるシーンが多かったので、11人以上の芝居を全て見きれないので、それが大変でしたね。緊張感もありました。」と答えた。
ついに今週金曜日公開となる本作。完成した映画をみて尾上「自分の出ているものって手に汗握ってみてしまうのですが、今回の作品は楽しくみさせていただきました。自分の役割が作品の一部になっているんだなって、役割の一つになれて嬉しく思いました。白石監督「監督として十数年立ちましたが、この作品が出発点になる映画だと思います。6月に完成しましたがまだ抜け殻のようです。やり切りました。本当にたくさんのみなさんにみていただきたいです。紀伊「音楽もミラノまで収録しに行きましたし、日本映画の作り方を変えようと言うチェレンジもあった作品だったので、それで言うとやりきったなと。出来に関しては満足してます」とそれぞれ本作への手応えを口にした。
最後に尾上「本日はありがとうございました。生き様、パワーを感じられる作品だと思います。私も全力で参加させていただきました。ぜひ劇場でご覧いただけたらと思います。よろしくお願いします」と締め括った。
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