10月27日に行われた衆議院選挙では、自民党が大きく議席を減らし、自民党・公明党の連立与党で過半数となる233議席に届かなかった。野党では立憲民主党が50議席増の148議席、国民民主党も4倍となる28議席を獲得して躍進。日本保守党も国政政党の要件である比例代表での得票率が全体の2%を超えた。
勢いづく野党の中“一人負け”とも言える状況になったのが日本維新の会だ。44議席から6議席減らして38議席とし、比例票は約300万票も減らした。この結果に党内から馬場伸幸代表の退任を求める声も出始め、11月下旬から12月上旬を目処に、代表選が行われる見通しだ。衆議院選挙では東京1区から立候補するも落選、逆風をもろに受けた前政調会長の音喜多駿氏は『ABEMA Prime』に出演し、今回の敗戦について「これは死んだなと途中で思った」と述べた。
東京1区という中心区で戦った音喜多氏だが、日本維新の会の完敗ムードを選挙中からもろ体に受け止めたという。「日に日に手応えが厳しくなってきたというのがある。僕も自分の選挙が5回で、いろいろな選挙を応援に行けば何百という選挙を見ている。やっぱりやっていると分かる。『これは死んだな』と、途中で正直思った。やはり自民党に対する批判が強まっていく中で、維新は自民党と同じ括りに入ってしまっていて、野党と見られなかった。立憲や国民民主に票が集まる中、すごく向かい風、冷めた空気感の中で自分は戦っていた。特に僕は維新=東京では音喜多というイメージがある。維新には入れないという、強い有権者の回避行動もあったのはあると思う。私自身も厳しい結果になった」と振り返った。
大阪都構想という経験を踏まえ、全国政党へとステップアップを求めている最中、今回の選挙では東京維新と大阪維新で、足並みが揃わなかったのも事実だ。「国政でも我々は実績不足。大阪の成功体験は、まずは身を切る改革。議員がまず身を切って、背中を見せて、改革をやるんだということは、財政が非常に豊かな東京ではあまり受け入れられない。やっぱり温度感みたいなものの違いというのは、党内でも確かにあるのは事実だ。全国政党化するのであれば、目線を擦り合わせて東京都民に何が刺さるのかとか、あるいは全国に何が刺さるのかということは、我々はもう一回総括して考えなくてはいけない」と語った。
党として打ち出すものが明確か否かは、対象的に議席を大きく伸ばした国民民主党との差が歴然だった。「国民民主党はワンメッセージで手取りの問題、社会保障の問題、とにかく若い人たちのために、現役時代を潰すなというワンメッセージでいった。ただ、うちは結構各々が、ちょっと違った行動をしていて、そこがやっぱりバラバラに見られてしまったのかなというのは反省点としてあった」と、党としてのブレが見えてしまったと振り返った。
日本維新の会は、そもそも衆議院選挙の後に代表選挙を行うことになっていたが、今回の敗戦を受けて、馬場代表の責任を問うことが党内でもあがり始めたことで、意味合いも大きく変わってきた。「代表選挙をやるべきだと馬場さん自身も申し上げている。私も含めてこの結果を招いた執行部の責任は極めて重いと思っている」。次の代表候補の1番手にあがっているのは、共同代表の吉村洋文氏だ。「党内で吉村さん待望論が極めて大きいことは事実」とし、次の代表には2つ求めることがあるという。「まず世代交代という大きなテーマが1つある。もう1つは脱大阪、全国政党化。この2つを満たせる代表がいるか。吉村さんは世代交代にはなる。49歳なので一回り若くなる。ただ、大阪知事でまさに大阪改革の象徴なので、全国政党化というのは、知名度はあるがますます大阪に固まっていくのではという懸念については多くの方が持っている」と述べた。
■苦戦も議席数は3番目「交渉できる立場だと思う」
議席数を減らしたとはいえ、それでも日本維新の会は自民党(191議席)、立憲民主党(148議席)に続く3番目の議席数はもっており、キャスティングボートを握る力は持っている。「僕個人の考えだが、維新は国民民主党より議席数を持っているわけだから、交渉できる立場だと思う。政治改革や議員定数の削減など、身を切る改革を飲ませるよりも、より国民に密着した、まさに現役世代への徹底投資を言ってきたわけだから、そこで社会保障制度改革に踏み込んで、本当に社会保険料を下げるために医療制度改革を今から始め、国民生活に密着することを突きつけて交渉に乗っていくべきだ」と主張した。
さらに維新の政策として、「社会保障制度改革とライドシェア、これは国民民主党も慎重だから、実は維新と自民の一部しかできない。そういうことにテコをかけてやっていくということは国民の理解を得やすい。支援者にこれが維新にしかできないから今回は自民を動かすんだとか、あるいは、みんなで野党として反対して自民を追い込むとか、分かりやすいメッセージで党内外にきちんと伝えて、是々非々という非常に難しいが真ん中に立ち続けるということが、維新の存在価値であり矜持であるべきだと私は思う」と訴えていた。
(『ABEMA Prime』より)
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