関係者によると、「JPドラゴン」は日本の元暴力団員らがフィリピンで立ち上げた犯罪グループで、10年以上前から首都マニラを拠点に活動しているという。
「JPドラゴン」の由来は、日本とフィリピンの英語の頭文字をとって「JP」、そして創設者であり、組織のトップとされる人物の名前の一部を英語にした「ドラゴン」を組み合わせから来ているとされる。
フィリピンの国民的ギャンブルであるニワトリを闘わせて勝敗に金を賭ける「闘鶏賭博」やレストランなどを経営する一方、フィリピンを拠点にして集めた日本人のかけ子らを使って日本国内に電話をかけ日本人をだます特殊詐欺を繰り返しているグループと言われる。
海外からかけ子などを増やす手口としては、SNS上で「高収入のリゾートバイト」などと呼びかけ、フィリピンに来た日本人のパスポートを取り上げて脅すといった方法をとっているとみられる。
■「ルフィ」グループとの関係は?
「ルフィ」グループは、マニラ郊外の入管施設「ビクタン収容所」から、日本国内の実行役に指示していたとして、すでに今村磨人被告(40)や渡邉優樹被告(40)らが逮捕・起訴されている。
この事件ではかけ子ら36人が2019年にフィリピンで一斉摘発され、70人以上が逮捕されるなどした。
関係者によると、「ルフィ」グループがフィリピンに進出し特殊詐欺を始める際に、現地で闘鶏賭博などの活動をし、警察当局にも大きな影響力を持っていた「JPドラゴン」側が、「警察官に拘束されたくなければ上納金を払え」と迫ったという。
そして「ルフィ」グループから拠点の一つを奪い取る形で、2018年ごろから「JPドラゴン」がフィリピンで特殊詐欺を始めたとみられている。
「ルフィ」グループの幹部で強盗や特殊詐欺を指揮していたとされる今村被告は、警視庁原宿署の留置施設にいた2023年2月ごろ、接見した弁護士を通じて小山容疑者とテレビ電話をしていた。今村被告は「JPドラゴンとは無関係だ」と証言するように求められていたという。小山容疑者は「JPドラゴン」のトップから指示を受けていたとみられる。
また「ルフィ」グループは、特殊詐欺などで60億円以上をだまし取ったとみられているが、その金の一部が「JPドラゴン」側にわたっていた疑いがある。