【明治安田J1リーグ】サンフレッチェ広島 5-1 北海道コンサドーレ札幌(12月1日/エディオンピースウイング広島)
固い絆が詰まったシーンだ。北海道コンサドーレ札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督が試合後のインタビューで、今季で現役を引退するサンフレッチェ広島の青山敏弘について語っていると、その場に青山本人が登場。広島時代に共にした2人は抱擁とキスをし、その仲睦まじい様子がSNSで話題になっている。
時が経っても色褪せない師弟関係が顔を覗かせたのは、試合後の監督インタビューでのことだ。明治安田J1リーグ第37節で広島に敗れた札幌のペトロヴィッチ監督は、広島を率いた時に指導し今季限りで現役を退く青山について問われる。すると、にこやかな表情で2006年から2011年にかけての思い出を振り返りながら、言葉を通訳に託した。
その通訳が監督の言葉を訳している最中だった。なんと青山本人がインタビューブースに登場したのだ。ペトロヴィッチ監督は満面の笑みを浮かべ、熱い抱擁で迎え入れる。そして、青山の頬にキスをし、21年のプロ生活を終えたことに労いの言葉をかけた。
青山は恩師の粋な計らいに笑顔で応えた。ペトロヴィッチ監督と肩を組み、握手を交わし、言葉を受け止めていた。
札幌を率いる監督と広島でプレーする選手。この試合では敵同士の立場だが、両者は時を超えた絆で結ばれる、かけがえのない関係性だ。ペトロヴィッチ監督が2006年に広島の監督に就任した時、青山は高卒3年目の選手として広島に所属していた。当時の青山は2005年に左膝前十字靱帯を断裂していたことも影響し、リーグ戦の出場がなかったのだ。しかし、2006年にペトロヴィッチ監督に抜擢される形でJ1デビューを飾ると、青山自身は3度のJ1優勝を経験し、日本代表としてワールドカップのピッチにも立ち、J1通算出場数が444に伸びるまでに息の長い選手になった。
広島時代に“共闘”した2人の再会シーンに、ファンがSNS上で大盛り上がりだ。「ふたりの素敵な笑顔が見れてよかった」「ええなぁミシャと青山」「青山が引退するホーム最終戦の相手がミシャって凄いぜ日程君」「きっとミシャは青山に花道を作ってやりたかったんだな」「ミシャと抱き合ってたの感動した」と、温かい声が並んだ。
ペトロヴィッチ監督は通訳を通して、「2006年の6月に私が広島に来た時、青山選手も私と同時にJリーグデビューをしたと思うんですけど、そのアオの選手としての最後の試合を、私が相手チームの監督として見届けるのは何かの宿命かなと。もしかしたら私自身もこれで日本でのキャリアを終えてしまうかもしれませんけど、一緒にこうした舞台で終わりを迎えられるのも感慨深いと思います。私は18年ここ日本で戦ってきた中で、かつて共に戦った選手がこうして最後に挨拶に来てくれるのは監督冥利に尽きます」とコメントしている。
(ABEMA de DAZN/明治安田J1リーグ)