「急にごめんなさい。あの子、もう長くないの。小児がんで。お願い、会ってあげて」
聞けば、がんを患ったのは4年前。僕は病院に急いだ。魔法使いは病室で、呼吸器を使って息をしていた。
「マサヤ! なんで教えてくれなかったんだ。その病気も、入院のために引っ越すってことも」
『君にこんな顔させたくなかったから』
「バカ! 魔法で病気なんか治せ! 死んだら絶交するぞ」
『ユウトくん。君はこれからも大好きなお芝居でたくさんの人を笑顔にして、本当の勇者になってほしいよ』
それが魔法使いから聞けた最期の言葉だった。
時が流れ、大人になった僕は俳優をやっている。僕に残るマサヤの記憶がいつでも僕を泣かせて、怒らせ、笑わせてくれる。あいつの魔法は永遠に解けない。