やがてトロッコは、多くの乗客で満員状態に。彼らに話を聞くと、利用者の多くはコロンビアから金を求めてやって来た鉱山労働者だと判明した。しかし鉱山に近づくと、「カメラを止めろ」と指示が。トロッコが進む先には1台のショベルカーが停まっており、数人の男たちの姿があった。彼らを見た通訳は「ヤバいやつ。笑ってないでしょ顔」と忠告。ジュセさんからは、撮影を中止させた理由について「彼らが降りる鉱山は撮るなと言ったろ?違法鉱山労働者だから」と説明があった。
トロッコの線路沿いには、水俣条約によって国際的に禁止されている水銀を使用し、金を産出する違法鉱山が密集。エクアドルではマフィアが労働者を雇い、いたるところで違法に金を産出しているのだそうだ。なお、トロッコの乗客はマフィアや違法労働者ばかりではない。地元の住人たちが畑や街へ行く際にも利用されており、「トロッコがないと買い物に行くのに歩いて3時間以上かかる」とのこと。違法鉱山への通勤手段である一方、地元住人の貴重な足でもあるトロッコは、善悪表裏一体の存在のようだ。
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