厚生労働省は就職活動中の学生へのセクハラ、いわゆる「就活セクハラ」を防止するよう企業に義務付けるため、今年の通常国会で関連法改正案の提出を目指している。
【映像】「2次面接は部屋着で」「全身後ろ姿を見せて」…セクハラの数々
改正案の中には、OBOG訪問などを含めた面談ルールをあらかじめ定めることや、学生の相談窓口を設置し、周知することなどを求めている。
そんな社会問題として大きく取り上げられている「就活セクハラ」の実態を日本ハラスメント協会代表理事の村嵜要さんに聞いた。
「内定取り消し」をちらつかせる
「協会への相談件数は2020年が142件と最も多く、そのうちセクハラが120件と割合は高い」(村嵜さん、以下同)
その手口は大きく分けて3つあるという。
1つ目は「面接時における就職活動とは関係のないセクハラ発言」。
「例えば、面接の場面で『全身後ろ姿を見せてください』と言われたり、WEB面接の場面で『スーツ姿も就活生らしくてフレッシュでいいけど、2次面接は部屋着で参加して』などの発言も」
2つ目は内定後に懇親会と称し、無理やり行うセクハラ。
「内定者懇親会の場面で人事担当者から『個人的に食事行こうよ』と誘われ『ちょっと無理です』などと断ると、内定取り消しをちらつかせるような発言をする。また『役員の横に座りなさい』などと座席を指定された女性もいた」
そして、3つ目は“人事担当以外”からだという。
「企業の現役OBからカフェで面接のアドバイスを受けていた人が、『ホテルで休憩しながらゆっくり面接の指導をしてあげる』などの誘いを受ける。人事担当者以外のOBが優越的な立場を生かして、プライベートなシーンに誘い込む就活セクハラも人事担当者と同等程度の割合であるようだ」
さまざまな事例のある就活セクハラだが、その被害は女性だけではないという。
「女性だけでなく男性同士『頑張れよ』と肩やお尻をポンっと励ますような形で。意図なく叩く人も多いと思うが、身体に触れる行為は目的がどうであれセクハラに該当してしまう」
男性からの相談も多く、全体の4割ほどが男性の相談だという。就活生の人生を変えてしまう就活セクハラ。村嵜さんは今回の厚生労働省の改正案でこの環境が変わることを期待している。
「おのずと企業側の就活セクハラに対する対策も強化されて、より強く自社の従業員、特に採用担当者には気をつけるよう周知されるため、気を引き締めて活動するべきだ」
4人に1人がセクハラを経験
厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査(2020年度)によると、就職活動中、もしくはインターンシップ参加中に4人に1人がセクハラを経験しているという。
男女別では男性の方が高く、男女の学歴別では男性の大学院生が最も高い。 また、セクハラを受けた人のうち24.7%が「その後何もしなかった」と答えている。
就活セクハラについてThe HEADLINE編集長 石田健氏は「最近はセクハラやダイバーシティ&インクルージョンについての議論が高まってるにもかかわらず、いまだに“4人に1人が被害”というのは非常に多い」と憤りを見せた。
「相談したら不利になるのでは」
自身も学生時代に悪質な就活セクハラを体験したAIクリエーターの関口舞氏は「“会社の中”で起こったセクハラは相談しやすくなったが、学生は『相談したら不利になるのでは』と声を上げられない。当時は私も告発できなかったことを後悔した」と振り返った。
就活セクハラ被害の中で最も多かったのは「性的な冗談やからかい」、他にも「食事やデートへの執拗な誘い」「不必要な体への接触」などがある。
この結果に石田氏は「プライバシーに配慮しつつ、セクハラがどこでどういうシチュエーションで行われてるかを具体的に特定し、職場や選考プロセスの問題を明らかにした上で実行的な対策に踏み込んでいくべきだ」と提言した。
さらに石田氏は「特にテレビ局や広告代理店などの業界でセクハラが非常に多い」と指摘した。
「こういったセクハラの話題を『被害者がこんなに多いなんて信じられない』などとテレビ局で報じる前に自分たちが行ってきた“セクハラ的な報道”について、自分たちの何が問題だったのか、しっかり問い直す必要がある」
(『ABEMAヒルズ』より)
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