骨董マニアのマ・クベ(CV:塩沢兼人)が「いいものだ」と言ったのだから、本当に価値があったに違いない! 巧妙な罠を仕掛けてガンダムを誘い込み、アムロ・レイ(CV:古谷徹)に、「こいつ、こざかしいと、思う!」と言わせた男。その最期の言葉は、日本アニメ史においても異彩を放つものだった。
【映像】地形を利用した戦い方をアムロに批判されるマ・クベ(21分5秒ごろ~)
ソロモン攻略戦が終了後、ソロモンを脱出した敵艦の掃討作戦にあたっていたホワイトベースは、暗礁空間・テキサスゾーンに突入した。一方シャア・アズナブル(CV:池田秀一)は、武器不足を理由に近くにいたマ・クベにホワイトベースの迎撃を任せ、自らはテキサスへと入港した。
マ・クベは第16話で初登場した際、白磁と見られる壺を指で弾いて音色を楽しむ様子が描かれており、骨董マニアな一面をうかがわせていた。普段はジオン公国軍の司令官として指揮を執る立場だったが、第37話では専用モビルスーツ・ギャンの整備状況を確認するなど、ガンダム討伐に意欲を燃やしていた。副官のウラガン(CV:戸谷公次)は「マ・クベ大佐自らお出になることはないかと……」と進言したが、マ・クベは高価そうな壺を愛でながら、キシリア少将への男としての面子、そしてシャアを出し抜きたいという野心を胸に戦場へと向かった。
マ・クベはまずリック・ドム数機でガンダムをテキサスへと誘い込み、最後はギャンが討つという作戦を立案。「作戦通りやれ。テキサス近くで私は仕掛けを作る。ガンダムを倒せば二階級特進ものだということを忘れるな!」と部下に発破をかけた。
誘い込まれたとも知らず、アムロはテキサス方向へと流されていった。そして、岩石上で待ち構えるマ・クベを目にすると、「こいつ、こざかしいと、思う!」とその策略を見抜く。ニュータイプとして目覚めつつあったアムロは、マ・クベの仕掛けた罠を次々と突破していった。
戦闘中にシャア専用ゲルググが一時乱入してきたが、マ・クベは「私なりの戦い方があるからこそガンダムを引き込んだのだ」とシャアの介入を拒み、退けた。このとき、アムロはゲルググに向かってビームライフルを乱射し、エネルギー切れを起こしていた。マ・クベはこれを見逃さず、過去のガンダムの戦い方から接近戦へと持ち込んだ。
しかし、アムロは「汚い手しか使えないお前はもうパワー負けしている!」と動じない。罠が通用しなかったマ・クベに勝ち目はなく、アムロのビームサーベル2本がギャンを真っ二つに切り裂いた。最期の瞬間、マ・クベはウラガンに向け「あの壺をキシリア様に届けてくれよ! あれは、いいものだ!」と言い残し、散っていった。
キシリアに献上するためのものだったのだろうか、マ・クベの壺がどれほど価値のあるものだったのか定かではないが、第38話でウラガンの乗る艦はホワイトベースに撃破され、マ・クベの願いは叶わなかった。なお、第16話で登場した白磁の壺は2014年に商品化され、ファンの間で話題となった。
アニメ「機動戦士ガンダム」は1979年4月から1980年1月まで放送されたサンライズ制作のロボットアニメで、富野由悠季監督が手掛けた作品。“リアルロボットアニメ”という新ジャンルを開拓し、以後のアニメに多大な影響を与えた。放送当時の視聴率は振るわなかったものの、再放送や劇場版の公開で人気が急上昇すると、「ガンプラ」ブームも生まれるなど空前のヒットに。現在に至るまで数多くのシリーズやスピンオフなどの派生作品が制作され、高い人気を誇る。
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