あのシャアがここまで感情を露わにするなんて、誰が予想できただろうか。シャア・アズナブル(CV:池田秀一)がピンチに陥ったとき、ララァ・スン(CV:潘恵子)がそれを庇うように助けに入った。しかし、ララァの乗るエルメスは、ガンダムのビームサーベルに貫かれ、そのまま爆発した。シャアは大声をあげてコックピットを叩き、感情むき出しで悲しみを露わにした。
【映像】シャアが感情をむきだしにする瞬間(18分29秒ごろ~)
キシリア艦隊とホワイトベースを含む地球連邦軍艦隊が交戦し、激しい艦隊戦が展開された。戦闘がモビルスーツ戦へ移行すると、ララァとアムロ・レイ(CV:古谷徹)は、互いの正体に気づかぬまま対峙していた。しかし、アムロが意識を集中し、エルメスのビットを次々と落としながら接近していくなかで、2人は初めて互いの存在に気づく。
意識が共鳴すると2人の間で対話が始まった。最初はお互いの主張がぶつかり合うだけだったが、次第に理解し合える寸前まで達していった。しかし、その様子に危機感を覚えたシャアは「ヤツとの戯言はやめろ!」と割って入り、2人を戦争の現実へと引き戻す。「私はガンダムを討ちたい。私を導いてくれ!」というシャアの声に、一瞬の沈黙の後、ララァはシャアと共にガンダムを倒す決意を固めた。
一方のアムロには、セイラ・マスがGファイターで援護についていた。シャアはそのGファイターを叩き斬ろうとしたが、その瞬間、ララァが「大佐! いけない!」と呼びかけた。シャアはこの声で初めて相手が実の妹セイラであることに気づく。ララァの一言がなければ、シャアは自らの手で妹を宇宙の塵にしてしまっていただろう。
アムロはシャアがセイラに気を取られた一瞬の隙を逃さず、ビームサーベルでゲルググの片腕を切り落とした。そしてとどめを刺そうとしたその瞬間、ララァのエルメスがゲルググを庇うように前に飛び出した。ガンダムのビームサーベルは、エルメスのコックピットを貫いた。
アムロは「と……取り返しのつかないことを、取り返しのつかないことをしてしまった……」と心底悔やみながら号泣する。一方のシャアも、ララァを失ってしまった嘆きからか、アムロを倒す術も失ってしまったからか、絶望に涙を滲ませ「うわあああ!」と操作パネルを叩きながら悔しがっていた。
これまで常に冷静沈着だったシャアが、ここまで感情をむき出しにする姿を見せたのは初めてだった。運命というにはあまりにも悲しいララァの死。このあともシャアとアムロ、どちらの心にも澱のように残り続けることになる。
なお、TV版では上記のように悲しみの絶叫を見せたシャアだが、劇場版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』では涙を流しながら「私を導いてくれ」と呟く演出に変わっている。
アニメ「機動戦士ガンダム」は1979年4月から1980年1月まで放送されたサンライズ制作のロボットアニメで、富野由悠季監督が手掛けた作品。“リアルロボットアニメ”という新ジャンルを開拓し、以後のアニメに多大な影響を与えた。放送当時の視聴率は振るわなかったものの、再放送や劇場版の公開で人気が急上昇すると、「ガンプラ」ブームも生まれるなど空前のヒットに。現在に至るまで数多くのシリーズやスピンオフなどの派生作品が制作され、高い人気を誇る。
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