その“妖術”は、チームメイトをも惑わせることとなった。全国を8つのブロックに分け、エリア対抗の形式で行われる団体戦「ABEMA地域対抗戦2025 inspired by 羽生善治」の予選Bリーグ1回戦第2試合、関東B 対 北海道・東北が2月15日に放送された。第4局の副将戦を担当した関東Bの高見泰地七段(31)は、相手チームの主力・広瀬章人九段(38)に対し大逆転勝利。仲間も思わず「あれ?ひっくり返ってる」と驚くほどの逆転劇で魅了した。
【映像】高見七段の“妖術”に対するチームメイトのリアクション
脚部の怪我の影響による欠場となった渡辺明監督(40)に代わり、緊急参戦となった横浜市出身の高見七段。チーム2勝1敗とリードした第4局の副将戦で出番を迎えた。対するは竜王・王位の獲得経験のある強豪・広瀬九段。第3局ではチームの監督代行・永瀬拓矢九段(32)が黒星を喫したとあり、再び流れを引き戻すべく強い気持ちで対局場へと向かった。
高見七段の先手で得意の相掛かりの出だしとなったが、後手ペースでの進行となった。苦しい時間が続く高見七段だったが、粘り強さが高見七段の持ち味でもある。気持ちを切らすことなく丁寧に受けて対応し、反撃のチャンスを静かに伺っていた。
依然として広瀬九段のリードは変わらぬものの、高見七段は決め手を与えない。寄せに行った広瀬九段だったが、その一瞬の駆け引きの中でABEMAの「SHOGI AI」は大きく数値を入れ替えることとなった。この瞬間の出来事に、関東Bの控室では永瀬九段、郷田真隆九段(53)らが「あれ?ひっくり返ってる?」「え、詰むんですかこれ」「あれ?あれ?うう~ん?なんだ?」と大混乱に陥っていた。
仲間をも惑わした妖術に、ファンは大興奮。「あれあれあれおかしいですよ」「高見マジック」「妖術きいたか」「うひゃー!」「まじで」「完全に妖術」「あらま」「何があった?」「これがうわさの妖術か」とのコメントであふれかえることとなった。
勝負はこのまま高見七段が駆け抜け99手で大逆転勝利。「渡辺監督に選んでいただいた采配にはミスがなかったと思ってもらえるように勝ちを持って帰りたいと思っていた。かなり苦しくなったが、奇跡的な勝ち方だった。次は内容も良くしていきたい」と笑顔で熱戦を振り返っていた。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合は監督と出場登録棋士4人の計5人が参加。全員が1局ずつ指す「ステージ1」と、ステージ1で勝った棋士が負けるまで指し続ける「ステージ2」に分かれ、5人を先に倒した方が勝利チームとなる。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)