中国で開催中のAFC U20アジアカップに参戦するU-20日本代表。U-20イラン代表と戦った準々決勝(2月23日)は120分を戦って1-1、PK戦4ー3でなんとか勝利して大会ベスト4進出&U-20ワールドカップ出場権獲得を果たしたものの、攻撃のアイデアという意味ではやや不足している印象も否めなかった。
そんな中で期待を抱かせたのが、MF中島洋太朗(サンフレッチェ広島)だ。イラン戦では75分から途中出場したファンタジスタは、持ち前の技術と創造性を単発的ながら発揮。とりわけ圧巻だったのが、84分のワンシーンだ。
自陣センターサークル手前でMF佐藤龍之介(ファジアーノ)からボールを受けた中島は、小刻みにバウンドするボールのタイミングを計り、ダイレクトで右足アウトのワンタッチスルーパスを繰り出したのだ。しかも近くの味方ではなく、狙ったのは前方のスペースに走り込むFW高岡伶颯だった。
解説・水沼貴史氏は思わず「うお~」と感嘆の声を漏らし、「アウトで出しているのでボールが失速するというか、止まるんですよね。スペースに出していて、本当にギリギリ(届かなかったん)だと思いますけど、長いボールでも変化を付けられて蹴ることができるのは面白いですね」と称賛した。
中島のパスはバウンドで勢いを失った後、飛び出してきたイランのGKにキャッチされた。しかし、難易度の高い極上のパスを躊躇なく選択し、精度を保ったまま実行したプレーにはファンも大興奮。SNSでは「洋太朗つながらなかったけど、そのパスヤバい」「中島洋太朗くんは見えてる次元が違うな」「ワンタッチで神パス」「アウトを使うところが天才的」「セクシーフットボールだ」「エレガント」「まさにファンタジスタ!」などの声が目立った。
元Jリーガーの中島浩司を父に持つ中島は、広島の下部組織で育ち、クラブ史上最速の17歳でプロ契約を締結。まだ現役高校3年生で18歳ながら、今年2月8日の富士フイルムスーパーカップ(ヴィッセル神戸戦)ではフル出場して勝利に貢献するなど、「日本の新たなファンタジスタ」として期待される存在だ。
ただ、今大会はコンディション不良もあり、先発はゼロ、4試合で102分の出場にとどまっている。それでも、イラン戦のアウトサイドパスをはじめ数少ないプレー時間で見せている技術と創造性は際立っており、やはり才能は十二分。今日の準決勝(U-20オーストラリア代表戦)では、仮に再び先発から外れたとしても、途中出場から日本の攻撃陣に変化を付ける“裏キーマン”として期待したい。
(ABEMA de DAZN/AFC U20アジアカップ)
【AFC U20アジアカップ】
2025年2月12日から3月1日まで中国で開催。グループステージは16チームがグループAからグループDに分かれて戦い、各組の上位2チームが決勝トーナメントに進出する。準決勝に進出した上位4か国が、2025 FIFA U-20ワールドカップ(チリ開催)の出場権を獲得する。日本は前回の2023年大会で準決勝敗退、今大会は2016年大会以来となる優勝を狙う。