
来年度予算案が衆議院を通過して、ヤマ場を越えたかと思ったのもつかの間、新たな火種を巡って再び与野党の攻防が激しくなっています。
■「高額療養費」巡る方針転換で新たな火種
石破茂総理大臣
「私の責任でございますが、丁寧さが十分ではなかったという反省を持っている」

7日に突然、「高額療養費制度」の8月からの負担額引き上げの見送りを表明した石破総理。10日の国会では、この点が追及されました。

立憲民主党 徳永エリ議員
「(今年の夏の)参議院選挙が終わったら、今回と同じような引き上げ案が出てくるのではないか。『強行することはない』と明言をしていただきたい」

石破総理
「私どもは選挙目当てで、このようなことやっているのではない。(参院選後に)強行することもいたしません」
ただ、この方針転換によって新たな火種が生じています。
■予算再修正?予備費で対応?

来年度予算案はすでに衆議院を通過しているため、予算案を再修正する場合、参議院で可決した後に、衆議院に戻して再可決する必要が出てきます。しかし、少数与党のなか、日本維新の会の「賛成」で何とか通過させた衆議院に再び予算案を戻すのは、石破政権にとってリスクもあります。そのため…。
政治ジャーナリスト 田崎史郎氏
「1つは予算書を修正する。2つ目として予算書の修正をしないで、お金が足りなくなった段階で予備費から補填(ほてん)する。この2つの考え方がある」
予算書の修正をしない場合は、衆議院に戻す必要はありません。

自民党 坂本哲志国対委員長
「修正になるのか、金額として100億円少しであるならば、予備費との相殺。そういったことで対応できるのでは」
野党は、これに反発しています。

国民民主党 玉木雄一郎代表
「予備費でやるなんていう、セコイことを考えている人がいるのか。もし参議院で修正するんだったら、衆議院に戻して、しっかりと議論をし直すべきだと思う」

10日夕方、自民・公明と維新の幹事長が会談しましたが、まだ結論は出なかったようです。
■年金改革法案“先送り”浮上

そして、もう1つ火種となっているのが「年金制度改革法案」です。
この法案には、企業や現役世代の一部に“保険料の負担増”となる内容が盛り込まれているため、ここにきて与党内で提出見送りの意見が強まっています。
田崎氏
「与党内では提出したら、また騒ぎになるという見方と、提出しないと逃げたと言われる懸念があります。(過去には)年金未納問題、消えた年金問題、参議院選挙でボロ負けした経験もあるわけで。政権にとって厚労省の特に年金問題は鬼門」
与党の幹事長らは、立憲民主党などの野党に事前に協議を呼びかける方針を確認しました。

立憲民主党 野田佳彦代表
「なんで年金だけそう(事前協議)なのか。何かの共犯にしたいのか。(年金改革法案は)粛々と出していただくことが原則で、出てきたものをきちっと吟味していくのが我々の姿勢」
(「グッド!モーニング」2025年3月11日放送分より)
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