
「政治とカネ」の問題に厳しい姿勢を見せてきた石破茂総理大臣が、新人の衆議院議員15人に10万円の商品券を渡していたことが分かりました。石破総理は「ポケットマネーで用意したもので法律に抵触しない」と釈明しました。
■政治資金規正法に抵触の恐れ

石破総理
「いろいろと報道いただいております。私から申し上げますのは3月3日、自民党所属の当選1回の衆議院議員15名と会食をいたしましたが、それに先立ち出席議員の事務所に、商品券をお届けいたしました」
13日午後11時すぎ、緊急記者会見を開き、10万円の商品券を渡していたことを認めた石破総理。いつもは原稿をあまり見ずに答弁する石破総理ですが、13日は大きな文字が書かれた原稿に時折、目を落とし慎重にコメントしました。

3日、小雨が降るなか、総理公邸から時折笑顔を見せながら帰路に就く自民党の新人議員たち。この日、当選1回の議員15人が参加した石破総理との懇親会が開かれました。

自民党 山本大地衆院議員
「結構、昔話は聞かせていただいて、非常に貴重な機会になりました」
自民党 大空幸星衆院議員
「1期生でも忌憚(きたん)なく意見を聞かせてほしいということで」
当日、懇親会の前に石破事務所の秘書が参加する議員の事務所を直接訪問して「お土産」という名目で10万円の商品券を届けました。
石破総理
「会食のお土産代わりに、ご家族へのねぎらいなどの観点から、私自身の私費ポケットマネーで用意をしたものでございます。これは法律に抵触をするものではございません」

政治資金規正法では、政治家の政治活動に関して寄付をしてはならないと定めていて、政治家個人への金銭等の寄付を禁止しています。
石破総理は政治活動に関する寄付ではなく、選挙区の有権者もいないため、政治資金規正法や公職選挙法に違反していないと説明しますが、専門家はこう指摘します。

日本大学 岩井奉信名誉教授
「10万円の商品券となってくると、やっぱり社会通念上から言って、お土産に位置づけることは非常に難しいだろうと思います。やはり、政治家個人に10万円渡しているということは、政治家個人に対する寄付行為の違反に問われる可能性があります」
■土産名目での金品は「初めてではない」
議員から違法性に疑念を持たれたことについて問われた石破総理は、こう述べました。
石破総理
「そういうふうにお思いになった方がおられるということは、それを事実として受け止めなければなりません」

お土産名目で金品を渡したことは、今回が初めてではないとも話しました。
石破総理
「本当に苦労していただいている皆様方、ご家族の方々に対しても、お一人お一人会食するわけにもまいりませんので。『これでありがとう』という趣旨で、お渡しをしたことはございます」
「(Q.(金品を渡したのは)今回が初めてではない?)ではございません」
物価高で国民が苦しむなか、国会議員に10万円の商品券を渡す行為の是非を問われると、こう答えました。
石破総理
「物価高を上回る賃金上昇ということで、政府として全力をあげて取り組んでおるところでございます。国民の方々の思いに反することがあったとするならば、それは申し訳のないことでございます」
■「政治とカネ」野党が追及へ

石破総理はこれまで、「政治とカネ」の問題に厳しい姿勢を見せてきました。
石破地方創生担当大臣(当時・2014年)
「常に『政治とカネ』ということで政権がダメージを受ける。政権の推進力が失われていくことを繰り返してきたわけで、もう終わりにしたいね」

少数与党で厳しいかじ取りが続くなか、14日の国会でも野党から厳しい追及を受けることは必至です。

政治ジャーナリスト 後藤謙次氏
「石破さんがこれまでこういう問題については、比較的厳しく距離を置いてきた人なので。違法性はともかく、イメージダウンにつながることは避けられないと思う。政治的には厳しいと言えると思う」
(「グッド!モーニング」2025年3月14日放送分より)
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