
ついに火の手は住宅まで…。発生3日目を迎えた愛媛県今治市の山火事。25日も火の勢いは衰えません。
■懸命の消火活動も 住宅に迫る炎

ついに火の手は住宅まで…。
近隣住民
「知っている人が住んでいるから、そこまで火が来ているから。かわいそうと涙流しながら…」
火の手は、マイホームに迫っています。
消火活動する近隣住民
「水圧って上がる?もう限界?水圧って上がる?」
懸命の消火活動。ただ、火の手はそこかしこから…。

発生3日目を迎えた今治市の山火事は、25日も火の勢いが衰えません。
場所は、JR今治駅などがある市街地から南東におよそ10キロほど。今治市によると、午前10時現在、およそ214ヘクタールが焼失。今治市と西条市の合わせて2585人に避難指示が出されています。
この位置から撮られた映像を見てみます。当初、ここで上がった火の手は徐々に画面右手へと延焼していき、満開の桜にまで迫っていく様子が分かります。
午後、現場に入ると、長沢地区には白い煙が立ち込めます。
車内に避難する人
「家が10軒ほどあるけど、もうこれ下がってきたらやばい。風が強いからね、強風で」
消火活動する近隣住民
「水圧って上がるんですか?もう限界ですか?水圧って上がるんですか?」

取材中、火の手が家の裏側に迫り、近所の人も手伝い、消火作業にあたる場面に遭遇します。住宅への延焼を防ぐため、近隣住民らが協力して、用水路の水をバケツで運びます。
住民
「迫ってくるところの部分に水をかけるのが精一杯。できることはそれしかないので」

火の手は住宅街にも容赦なく迫ります。
延焼した場所は赤く記されていますが、少し離れた緑ケ丘団地にも。その団地はどうなっているのでしょうか。
険しい斜面をのぼり、消火活動にあたる消防隊員。ただ、火の手は至る所で上がっています。取材中にも、火柱が上がります。

住民によると、40年ほど前に山を切り開き造られた住宅地。ストリートビューで見ると、比較的大きな2階建ての一戸建てが並び、100世帯ほどが暮らす地域。仮にどこかに火が移れば、道路や家の間が狭く、一気に延焼する恐れがあります。
火の手は、その住宅の近くまで押し寄せています。取材中にも、その勢いを増しています。マイホームに迫る火の手を目の前に、消火活動を見守るしか術がありません。
近隣住民
「自宅が団地の山際なんで、気が気じゃないんで。避難所にいたけど、朝どうしても眠れなくて見に来た。いざとなったら、何を持って出たらいいのか思いつかなくて、着の身着のままみたいな感じ」
■なぜ?瀬戸内海周辺で山火事

一方、瀬戸内海を挟んで岡山で起きた山火事。火は24日、小康状態となり、避難指示は解除されました。ただ、一夜明け、再び火の手が上がり、懸命の消火活動が続きます。
なぜ、瀬戸内海周辺で山火事が相次ぐのか。「特徴的な土壌が原因」とする指摘もあります。
森林総合研究所 玉井幸治研究ディレクター
「瀬戸内地域では風化花崗(かこう)岩に由来する真砂土で森林が形成されている地域が分布しているので、瀬戸内地域は日本で最も林野火災が頻発する地域の一つ」

花崗岩が風化してできた真砂土。瀬戸内海周辺では、その真砂土を土壌とした森林が多く形成されているそうです。
森林総合研究所 玉井幸治研究ディレクター
「真砂土で形成されている森林土壌の上にある森林の場合、太陽エネルギーのおよそ40%から70%が地面に到達するため、落ち葉や枯れ枝が乾燥しやすく、林野火災のリスクが高い」
乾燥しやすい土壌のため、火災が発生しやすいといいます。

ただ、住宅街手前で消し止めている愛媛では、効果は見てとれると話します。
元東京消防庁 坂口隆夫氏
「かなり住宅地に近い際まで炎を上げて燃えていたが、そこに地上の消防隊も放水活動をしていた。空からの空中消火も行っていた。それは十分効果出ている。その代わり住宅地の左右に延焼拡大している状況」